研究課題
河川における放射性炭素14の天然存在比(Δ14C)の動態を、溶存有機態画分(DOC)、溶存無機態画分(DIC)、懸濁有機態画分(POC)と分けて分析・調査し、大気由来炭素、有機物分解由来炭素、母岩由来無機炭素の寄与について検討した。その結果、河川別の母岩の違いによってこれらの画分の寄与が異なることがわかった。カスミザクラの結実木から直接種子を採取し、同じ年においては種子の酸素安定同位体比の値が標高によって低くなるという関係を明らかにした。その関係を用いて、糞から取り出したカスミザクラ種子の酸素安定同位体比から親木の標高を求め、標高方向の種子散布距離を求めた。その結果、ツキノワグマは平均で307m、テンは平均で193m、標高の高い方に種子を散布していることが分かった。北海道大学植物園付属博物館に所蔵されている1920年から1945年に採取された択捉島のヒグマ頭骨標本から骨の一部を、また、北海道大学総合博物館より食物資源候補を提供していただいた。これらのサンプルの炭素・窒素・イオウ安定同位体比を測定し、各食物資源のヒグマへの寄与率を択捉島と北海道東部地域で比較した。その結果、北海道東部地域のヒグマ個体群ではサケの利用割合が8.2%(95%信頼区間:5.4-10.3%)だったのに対して、択捉島のヒグマでは27.3%(同20.6-34.1%)であり、択捉島のヒグマがサケに強く依存していたことが判明した。20の実証的食物網データに対して、前年度に開発した理論手法を適用することで、生態系構造の構築を行い、また生態系レベルでの栄養転換効率の推定、系間比較を行った。その結果、栄養転換効率が高い栄養段階ほど低くなる傾向を見いだした。さらに、安定同位体分析から推定される栄養位置(trophic position)をもとにして、食物網の生産構造を明らかにする理論的手法の開発に取り組んだ。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 11件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 3件、 招待講演 1件)
Biological Journal of the Linnean Society
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1111/bij.12798
Current Biology
巻: 26 ページ: R315-R316
10.1016/j.cub.2016.03.002
Ecology
巻: 97 ページ: 1146-1158
10.1890/15-1133.1
Canadian Journal of Zoology
10.1139/cjz-2016-0046
Theoretical Ecology
巻: 9 ページ: 15-25
10.1007/s12080-015-0266-8
Radiocarbon
巻: 57 ページ: 439-448
10.2458/azu_rc.57.18348
Environmental Monitoring and Assessment
巻: 187 ページ: 459
10.1007/s10661-015-4678-0
Journal of Environmental Quality
巻: 44 ページ: 1800-1808
10.2134/jeq2014.11.0506
Environmental Entomology
巻: 45 ページ: 117-126
10.1093/ee/nvv142
Rapid Communications in Mass Spectrometry
巻: 30 ページ: 137-142
10.1002/rcm.7421
Population Ecology
巻: 57 ページ: 21-27
10.1007/s10144-014-0475-9