研究課題/領域番号 |
25291103
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
大橋 順 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (80301141)
|
研究分担者 |
西田 奈央 独立行政法人国立国際医療研究センター, その他部局等, その他 (50456109)
中山 一大 自治医科大学, 医学部, 講師 (90433581)
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (50422457)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | オセアニア / 肥満 / 脂質代謝 / 多様性 / 進化 / 自然選択 / 多型 |
研究概要 |
我々の先行研究において、ADRB2遺伝子の上流領域多型(rs34623097)がオセアニア集団の肥満と関連することが示されたため、128名のトンガ人集団を対象にrs34623097を含む10個のADRB2遺伝子タグSNPと血清脂質値との関連を検討した。その結果、年齢、性別、BMI(body mass index)を調整した後であっても、肥満リスクアリルrs34623097-Aが中性脂肪値と有意に関連していることを見いだした (P-value = 0.037)。また、rs34623097-Aを1コピー保有することが、中性脂肪値の70.1 mg/dL (0.791 mmol/L)の上昇と有意に関連していた。 オセアニア集団に属する804名を対象に、これまでに高血圧との関連が報告されているAGT遺伝子の3つのSNP (rs699, rs5049 and rs5051)、 GNB3遺伝子のSNP (rs5443)、CYP3A5のSNP (rs776746)の遺伝子型頻度を調べた。さらに、メラネシアのソロモン集団383名について関連解析を行い、rs5049-AA遺伝子型が高血圧と関連することを見いだした。 GeneChip Human Mapping 500K Array Set(Affymetrix社)を用いたゲノムワイドSNP解析を行い、従前の研究で解析済の50サンプルも併せて、合計125検体(Nucu’alofaに居住するトンガ人25検体、Mundaに居住するソロモン人25検体、Kusagheに居住するソロモン人25検体、Rawakiに居住するソロモン人25検体、Gidra族25検体)のゲノムワイドSNPデータを取得した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ADRB2遺伝子の上流多型と中性脂肪値との関連(Naka et al., Lipids in Health and Disease 12: 110)、AGT遺伝子の多型(rs5049)と高血圧との関連(Furusawa et al., Journal of Human Genetics 58: 142-149)を報告し、ほぼ当初の予定通りにゲノムワイドSNPデータを取得することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究の目的は、オセアニア集団、およびアジア集団(オセアニア集団で検出された関連の再現性を検討するため)において、肥満・脂質代謝・糖代謝と強く関連する遺伝子多型を同定する。さらに、集団遺伝学的解析によって、関連対立遺伝子の起源や作用する正の自然選択の有無について調べ、エネルギー倹約遺伝子仮説の検証を行うである。 今後は、オセアニア人集団の全検体(694名)について、ゲノムワイドSNP関連解析で絞り込まれたSNPのタイピング(DigiTag2アッセイ)を行い、肥満・脂質代謝・糖代謝との関連を検討し、関連SNPの進化的背景を明らかにする。
|
次年度の研究費の使用計画 |
DigiTag2方によるSNPタイピングに必要な試薬(プライマーおよびプローブのオリゴ合成および標識)の発注をH26年度に行うことにしたため。H25年度中に発注ができなかったのは、タイピングすべきSNPの選定を年度の終了時期に行ったためである。 オセアニア集団を対象にSNPのタイピング(DigiTag2アッセイとTaqManアッセイ)を行い、肥満・脂質代謝・糖代謝との関連を検討する。
|