研究課題/領域番号 |
25291103
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大橋 順 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (80301141)
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研究分担者 |
古澤 拓郎 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 准教授 (50422457)
西田 奈央 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 肝炎・免疫研究センター, 上級研究員 (50456109)
中山 一大 自治医科大学, 医学部, 講師 (90433581)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | オセアニア / 肥満 / 脂質代謝 / 多様性 / 進化 / 自然選択 / 多型 |
研究実績の概要 |
GeneChip Human Mapping 250K Nsp Array Set(Affymetrix社製)を用いたゲノムワイドSNP解析をMundaに居住するソロモン人25検体、Kusageに居住するソロモン人25検体、Rawakiに居住するソロモン人25検体について行い、以前我々が解析したギデラ族25検体とトンガ人25検体のSNPデータ、HapMapデータベースのYRI集団、CEU集団、CHB集団、JPT集団とを併せたデータセットを作成した。次に、Human Genome Diversity Panelの53集団1043検体の660918個のSNP遺伝子型データと共通する19934個のSNPに対するデータセットを作成した。このデータセットに対して主成分分析を行い、(1)本研究の対象である全てのオセアニア集団はHapMapの東アジア集団と遺伝的に近いが、その多様性は高く、同じソロモン人であっても中国人と日本人との遺伝的差異以上の違いがあること、(2)ギデラ族はアジア系集団とは最も遺伝的に離れており、ギデラ族が初期のオセアニア移住者の子孫でること、(3)トンガ人は遺伝的に東南アジア集団(フィリピンやインドネシア)に近く、東南アジア起源であること、(4)ギデラ族とトンガ人との中間にソロモンのメラネシア人集団が位置することなどが確認された。これらの結果から、ポリネシア集団の祖先は、東南アジア起源であり、メラネシアで原住民と混血し、その後ポリネシア地域に拡散したことが示唆された。 オセアニア集団において、脂肪酸アミド加水分解酵素をコードするFAAH遺伝子上の非同義置換一塩基多型とBMIとが有意に関連することを見いだした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オセアニア集団の遺伝構造の解析が終了し、肥満・脂質代謝関連変異の探索も順調に進展しているため。
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今後の研究の推進方策 |
オセアニア人集団において、肥満・脂質代謝・糖代謝と正の関連をもつアリルに正の自然選択が作用したとすれば(すなわち倹約遺伝子仮説が正しければ)、当該アリルの頻度は急速に増加したと考えられ、その連鎖不平衡は遠方にまでおよぶと期待される。そこで、ゲノムワイドSNPデータをもとに、当該アリルを含むハプロタイプのホモ接合度を集団間で比較する統計手法、およびEHHを指標とするiHSテストによって、自然選択の痕跡を検出する。
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