研究課題/領域番号 |
25291105
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
石田 貴文 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (20184533)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 寄生体 / ヒト / 小進化 / 適応遺伝 / ウイルス / 原虫 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、感染寄生体を手がかりとして、アジアを中心とした人類集団の移動・交渉・適応について、これまでとは違う切り口から再現しようとするものである。集団の系譜は遺伝子を調べるのがベストと考えられるが、遺伝子を遺さない個体間交渉については、情報が得られない。本研究計画では、そのような、交易・交渉・訪問といった、人と人とのふれあいの痕跡を、感染寄生体の研究から探ろうとするものである。対象とする寄生体には、潜伏感染を示す常在ウイルス、原虫としてマラリアを想定している。感染様式(母子感染・家族内感染)と社会構造・婚姻体系を組み合わせ、ウイルスの系統を民族集団の関係に重ねることによって、集団間交渉や社会構成に新たな知見をもたらすことも目的の1つである。 感染受容体・抵抗性遺伝子の検索から、民族集団の適応・移動をさぐることとし、今年度はマラリア抵抗形質の1つであるG6PD欠損の分子多様性についてデータの収集に努めた。アジア・オセアニアの25の人類集団を検索の対象としたところ、11集団で8種の欠損変異型(Mahidol、Viangchan、Union、Vanua Lava、Kerala-Kalyan、Kaiping、Gaohe、Coimbra)が見つかった。先行研究の結果と比較すると、各集団での変異型の分布は特徴的であることがわかり、保有集団の出自情報、大航海時代以降の歴史的背景と併せ解析を進めることとした。また、昨年度に解析報告した卵型赤血球症の結果と合わせ、マラリア抵抗性形質からみた、アジア・オセアニア人類集団の成立にアプローチする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
研究代表者石田の両親が相次いで入院し、その看護・ケアに時間をとられた。その後、ターミナルケアに移行し両者とも他界した。その間、調査旅行をひかえざるをえず、研究の遅延を生じた。
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今後の研究の推進方策 |
H28年度は、研究の遂行を妨げる要素は無くなったので、期間延長したところで、まとめの調査、塩基配列決定とデータのとりまとめをおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者石田の両親が相次いで入院し、その看護・ケアに時間をとられた。その後、ターミナルケアに移行し両者とも他界した。その間、調査旅行をひかえざるをえず、研究の遅延を生じ、研究機関延長を願い出たため。
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次年度使用額の使用計画 |
まとめの調査をタイで行い、引き続き塩基配列解析をすすめるため、旅費・消耗品、及び、実験補助者の謝金に充当する。
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