研究課題
いくつかの植物では、花粉形成を阻害する遺伝子がミトコンドリアにコードされており、その形質は細胞質雄性不稔性(CMS)と呼ばれている。巷間、十分な検証もないままCMS原因遺伝子はミトコンドリア機能を低下させることで雄性不稔をもたらすと信じられてきた。これに対し、申請者はテンサイ(サトウダイコン)のCMS系統から単離したミトコンドリアが正常よりも活性化しているという意外な事実を発見した。本研究では、ミトコンドリアの過剰な活性化と雄性不稔性発現の関係を明らかにすることを目的に行われる。前年度に引き続き、形質転換実験を進めた。テンサイとシロイヌナズナから単離したatpγ遺伝子は、いずれも形質テンサイで発現させることができた。翻訳産物がミトコンドリアに局在することをBN-PAGEで確認できた。形質転換植物の表現型は、シロイヌナズナ遺伝子を導入した植物は正常であった。これは、翻訳産物のうちATPaseに組み込まれたものが少ないことによると思われた。一方、テンサイ遺伝子を導入した植物が半不稔であった。翻訳産物は効率的にATPaseに組み込まれているが、導入遺伝子の3'末端にはタグ配列が付加されている。そのため、γサブユニットとして十分に機能していない可能性がある。ミトコンドリア膜電位の解析では、培養細胞を使った精緻な解析を進めた。その結果、ロテノン、オリゴマイシン、およびcarboxyatractylosideの効果が認められないことを確認できた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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