細胞質雄性不稔性(CMS)は重要な育種形質である。CMSの原因はミトコンドリアにあるが、その機構は明らかではない。そこで、テンサイを材料にミトコンドリア機能を調査した。その結果、CMSにおける膜電位の低下を見出した。ATPγサブユニット遺伝子を用いてミトコンドリア機能の改変を試み、形質転換植物を作出した。その結果、半不稔の状態を作り出すことに成功した。テンサイCMSミトコンドリアの機能変換は主としてpreSatp6が担っていると考えられる。これに対する新規の花粉稔性回復遺伝子(Rf)の作用を検討した。その結果、既知のRfとは異なり、直接的な作用を及ぼしていない可能性が示唆された。
|