北海道大学研究農場のハスカップ野生個体由来29株から、2011および2013年に採取した果実のアントシアニン含量および抗酸化能を測定し、年次間差を調査した。その結果、アントシアニン含量およびDPPHラジカル補足活性値は、いずれも大きな年次変動を示し、環境条件によって変化しやすい形質であることが明らかになった。 北海道内各地から採集したヤマブドウ野生株(59株)果実について、総ポリフェノール含量、総アントシアニン含量および各種抗酸化活性値(DPPH、ROOおよびOHラジカル補足活性値)を調べ、それらの関連について回帰分析を行った。その結果、DPPHおよびROOラジカル捕捉活性値ならびに総ポリフェノール含量の間には、各々高い正の相関関係(p < 0.001)が認められた。一方、OHラジカル捕捉活性値は他の指標との間に関連は確認されなかった。また、総アントシアニン含量は、どの抗酸化活性値とも有意な相関を示さなかった。このことから、ヤマブドウ果実に含まれるポリフェノール類は、DPPHおよびROOラジカルの捕捉に機能を発揮するが、この作用には(ハスカップやブルーベリーとは異なり)アントシアニン以外のポリフェノールの寄与が大きいと考えられる。 高脂肪飼料にアロニアおよびハスカップ果実抽出色素を混合給餌した場合の、ラットの肥満に及ぼす色素の影響を見たところ、色素添加区における内臓脂肪の蓄積は、処理対照(高脂肪飼料単独給餌)区に比べて有意に低下した。この場合、色素添加区の血中総コレステロールおよびLDLコレステロール濃度も、処理対照区に比べ値が低く、盲腸内容物のpHが色素添加区で低下した。色素添加区ではいずれも腸内発酵が促進された結果、血中コレステロール濃度が低下したものと推測される。さらに、色素添加区では膵リパーゼ活性が低下しており、これが脂質分解および吸収の抑制したものと考えられる。
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