研究課題/領域番号 |
25292018
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
菅野 明 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (10260449)
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研究分担者 |
三位 正洋 千葉大学, 環境健康フィールド科学センター, 特任研究員 (30093074)
半田 高 明治大学, 農学部, 教授 (00192708)
遊川 知久 独立行政法人国立科学博物館, 筑波実験植物園, 研究主幹 (50280524)
佐藤 修正 東北大学, 生命科学研究科, 准教授 (70370921)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 遺伝子単離 / 遺伝子発現 / ゲノム解析 / 形質転換 / 変異体 |
研究概要 |
シグモルキスの花芽、葉、根、PLBから単離したmRNAを用いて454シーケンサーによる配列解析を行い、シグモルキス発現遺伝子のリファレンス配列を得るとともに、各組織の発現プロファイルを作製した。また得られた配列およびデータベースに登録されている配列から花器官形成に関与するMADS-box遺伝子に相同性のある配列を抽出するとともに、各遺伝子特異的な配列をもとにプライマーを作成し、cDNA断片をクローン化した。 シグモルキスの変異源処理に関してはPLBに対するEMS処理と炭素イオンビーム処理を行った。処理方法と処理量の再検討を行い、EMSでは0.3%濃度溶液の4時間浸漬処理が最も半数致死率に近い結果が得られた。一方、炭素イオンビームでは25グレイ処理が半数致死率に最も近い値となった。また、突然変異の検出についてISSRマーカーに加えて、SRAPマーカーを用いたDNAレベルでの検出方法を検討し、解析可能なプライマー候補を選別した。 シグモルキスの効率的な形質転換系の確立については、まずレポーター遺伝子としてGUS遺伝子を持ち、そのプロモーター領域が異なる二種類のベクター、pIG121Hm(CaMV35Sプロモーター)とpEKH2-nosPNPTII-ubiPGUS-35SPHPT(ユビキチンプロモーター)をそれぞれ持つアグロバクテリウム菌株を用いて、シグモルキス実生由来PLBを接種し、形質転換を試みた。共存培養培地と共存培養期間について条件検討を行い、最も高い形質転換効率では6.7%が得られた。こうして得られたハイグロマイシン耐性PLBおよびこのPLBから再生した植物体では、PCRによるhpt遺伝子の導入およびGUS遺伝子の組織化学的発現が確認出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ゲノム解析は順調に進み、植物体各器官ごとに発現する遺伝子について概略が解析できた。しかし得られた配列情報から全長cDNA断片を単離するMADS-box遺伝子単離については、遺伝子の数が10個以上あるため、当初の計画よりも遺伝子単離に時間がかかっている。またアグロバクテリウム法を用いた形質転換実験についても、形質転換体は得られているものの、現段階では効率が低く、方法をより改善する必要がある。
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今後の研究の推進方策 |
遺伝子単離については、当初の目標より時間がかかっているものの、ほとんど終了しており、RT-PCRによる発現解析も進んでいる。ゲノム解析については、花器官におけるより詳細な遺伝子発現プロファイルを作製する目的で、唇弁,花弁,がく片,ずい柱,花粉塊からmRNAを抽出し、各花器官での発現プロファイルの作成に向けた配列解析を実施する。 変異体作成の研究については昨年度、PLBに対するEMS処理と炭素イオンビーム処理を行い、変異体作成のための最適条件を検討したが、今年度は得られた処理条件での処理個体数を増やし、突然変異体獲得を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度のゲノム解析には他の予算を充当することにより解析を行えた。また形質転換体作成の実験が当初の計画より少し遅れたために、形質転換体の分析に用いる予算に少し余剰金が生じた。 26年度のゲノム解析は当初の予算より多くの予算が使用できるため、解析に用いるサンプル数をより多く解析し、精度の高い結果を導く予定である。また形質転換体作成の実験で生じた余剰金については、26年度にずれ込んだ形質転換体の分析を行うことに使用する予定である。
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