研究課題/領域番号 |
25292021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
細川 宗孝 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (40301246)
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研究分担者 |
粟野 達也 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (40324660)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | トウガラシ / 植物残渣 / ウイロイド / ウイルス / 抗ウイルス剤 |
研究概要 |
トウガラシ‘Sy-2’の大量の葉を用いて抽出液を作成し、硫酸アンモニウム分画を獲得した。これらの分画をイオンクロマトグラフィによって分画し、RNAse活性画分をリアルタイムPCRで同定した。活性画分には予想したとおり、高分子のタンパク質のバンドがいくつか見られた。このうち、活性画分で常に存在する200kDa以上の大きさを持つタンパク質をゲルから抽出し、そのタンパク質のアミノ酸配列を決定した。この配列はαマンノシダーゼの配列と一致した。しかし、報告されるαマンノシダーゼよりも高分子であること、αマンノシダーゼをウイルスベクターでノックアウトしてもRNase活性は低下しなかったことから、原因遺伝子ではないと考えられた。抽出した高分子タンパク質はαマンノシダーゼを含む複合タンパク質である可能性があり、この複合体を分解する処理を現在検討中である。 一方で、多くのトウガラシ品種・保存系統のRNase活性を調査したところ、C.chinenseで非常に活性の弱い系統を一つ見出した。この系統をSy-2と交雑し、F1を育成した。現在F2の採種を行っている。また、C.annuumを片親に用いた種間雑種を作成しており、F2も採種を完了した。F1ではRNase活はSy-2とほぼ同じとなり、優性で遺伝していることが予想された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本実験で同定するタンパク質はかなり高分子であり、同定には困難が予想された。今回、中圧クロマトグラフィを利用することによって高分子側の活性画分を精製することができた。ただ、同定までにはまだ解決するべき問題が多い。一方で、RNase活性が極めて弱い系統との交雑によるF1およびF2の種子の作成をすでに終えたことから、遺伝子マッピングによる原因遺伝子の同定を行える準備をした。これらのことから、生化学的方法に加えて、遺伝子的な方法を用いることで、原因の同定に近づいたと考えている。以上のことから、本実験は残り二年間で目的を達成できる可能性が高い。
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今後の研究の推進方策 |
25年度に実験系を確立しつつある中圧クロマトグラフィによるタンパク質の精製をより先に進め、ゲルろ過などによる更なる精製を行う。精製したタンパク質はアミノ酸シークエンスを用いて配列を決定する。また、次世代シークセンス解析により作出したSy-2のmRNAライブラリーからアミノ酸情報によるスクリーニングを行い、遺伝子を同定する。また、25年度に作成したF2集団を用いたマッピングによって原因遺伝子の特定を試みる。
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次年度の研究費の使用計画 |
25年度は中圧クロマトグラフィシステムを購入することで、効率よく実験をすることができた。中圧クロマトグラフィで原因物質(タンパク質複合体)に到達できる可能性は示せたが、遺伝子解析によって原因遺伝子を特定する方法も同時に行う必要性が生じた。そのため、できるだけクロマト経費を抑えて、次年度の次世代シークエンス解析代を残そうと考えた。また、25年度は実験がスムーズに進んだこと、解析の前に植物サンプルの栽培に力を入れたことから、経費がかからなかった。 25年度に大量に準備したサンプルの解析を一度に行いたい。昨年度に比べて人件費、解析費を見ておく必要がある。次世代シークエンス解析を何回かおこなうことによって遺伝子同定を行いたい。さらに、海外での成果発表など、実用化に向けた広報活動にも研究費が必要である。
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