C.annuumの多くの品種はRNA分解活性が弱い.その中から特に弱い4品種を供試して活性評価を行い,ほとんどRNA分解能をもたない‘紫’および‘日光’を選抜した.‘紫’と強いRNA分解活性をもつCPとの種間雑種‘紫’×CPを作出したところ,雑種は強いRNA分解活性を有していた.また,(‘紫’×CP)ב紫’93個体はRNA分解活性が強い個体と活性をほとんどもたない個体がそれぞれ50:43個体得られ,中間的なものは見られなかった.よって,強いRNA分解活性は優性形質であり,1つあるいは少数の遺伝子に支配されている可能性が高いと推測された. ‘Sy-2’を供試した.葉抽出液のRNA分解活性染色では,活性がスメア状に現れた.このスメアの一部を切り出し再び泳動すると,切り出した場所と同じ位置に活性が見られた.よって,スメアには各分子量のRNA分解活性をもつタンパク質が存在しているものと考えられた.各画分のRNAゲルブロットおよび非還元SDS-PAGEを行ったところ,最も強いRNA分解活性をもつのは画分9,10であり,その他の画分で弱くなった.また,画分に含まれる総タンパク質量はRNA分解活性の強さには関係はなさそうであった.Native-PAGE後のRNA分解活性染色において,画分14および15には活性を有する低分子バンド(約28-37 kDa)が共通して存在した.濃縮した画分14・15の活性染色ゲルからこの低分子バンドをゲル抽出しNative-PAGEで再泳動すると,全てのサンプルで切り出したものに比べて高分子のタンパク質が現れた.また,この中の1つは約100 kDaのタンパク質を持ち,活性染色で強い活性を示した.切り出し時の位置にあった低分子タンパク質を含む他のバンドの位置では活性は認められなかった.高分子タンパク質が存在しないゲル抽出産物をNative-PAGE後にCBB染色すると,約25-55 kDaの間に4つのバンドが認められ,切り出したものと比べて高分子および低分子のタンパク質が現れた.
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