研究課題/領域番号 |
25292023
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
牛島 幸一郎 岡山大学, その他の研究科, 助教 (20379720)
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研究分担者 |
鈴木 孝征 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 講師 (50535797)
池田 和生 山形大学, 農学部, 助教 (80555269)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 異形花型自家不和合性 / トランスクリプトーム / 次世代シークエンサー |
研究概要 |
本研究では異形花型自家不和合性の分子機構を明らかにするために,アマ科の異形花型自家不和合性章句物であるベニバナアマを次世代シークエンサーを用いて解析している. 異形花型自家不和合性は,一般の自家不和合性の様に自己花粉を認識・排除するだけではなく,自家不和合性の表現型と花の形(雌蘂の長さ)が連鎖している現象である.サクラソウやソバなどと違い,材料のサイズや遺伝子組換えの点から,ベニバナアマは有利な点が多い.一方,ゲノムデータベースの整備など,研究の基盤となるデータの蓄積が乏しい.そこで,H25年度はトランスクリプトーム解析を行った.unigeneのデータも無いので,まず雌蘂,葯,花粉のライブラリーのリード配列から,de novo assemblyを行い,約9万のコンティグからなるLG12Rデータベースを作成した.さらに,そのデータベースを元にリードをマッピングするRNA-seq解析を行い,花型に関連する発現パターンを示す約150の遺伝子を特定した.このように150の遺伝子まで絞り込めたが,さらなる解析を行うには十分なレベルとは言いがたい.そこで,遺伝解析を組合せる事を検討しているが,H25年度はそのための分離集団も作成した. このように,H25年度は本格的な解析のための基盤となる材料やデータベースを作成し,H26年度以降の解析に利用する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度は本格的な解析の行うための基盤となるデータベースや材料の作成に終始した.進捗が速ければ遺伝解析に関わるデータ収集まで行うことを考えていたが,F1集団の生育の関係でH26年度に行うことになった.すでにH26年度の5月までには材料採取,6月までにはデータ収集といったように,見通しはたっており,特に遅れているという状況ではなく,全体的には十分な進捗状況と言える.
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今後の研究の推進方策 |
RNA-seqで発現量の比較から150まで遺伝子を絞り込んだが,今後は遺伝解析を組み合わせることで解析が現実的な数(30程度)まで絞り込む.また,S遺伝子座周辺の配列を,ライブラリースクリーニングか次世代シークエンサーを利用した全ゲノム配列解析で明らかとする.ゲノム,トランスクリプトームといった情報を元に,遺伝子組換え実験などに利用する遺伝子を1~5個程度までに絞り込む予定である.
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次年度の研究費の使用計画 |
共同研究者1名が,海外留学のため当初計画していた次世代シークエンサーを利用した遺伝解析をH26年度に延期した.そのため,次世代シークエンサーの受託に関係するための費用が次年度に繰り越しとなった. また,分離集団のサンプリングに関わる費用(旅費)が開花の遅れのために次年度に繰り越しとなった. これらの事から,約180万円がH26年度へ繰り越しとなった. 繰り越しの原因となったサンプリングは4月から行う予定であり,次世代シークエンサーの受託も得られたサンプルを利用して,共同研究者を通じて7月までには行う予定である.
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