研究実績の概要 |
PpMADS13がFTと相互作用しなかったため、PpMADS13タンパク質が制御すると考えられる遺伝子をChIP-seqにより網羅的に解析し、現在データを取りまとめ中であるが、NCED等の遺伝子が候補として挙げられた。現在、NCEDについてさらなる解析を行っているところである。
本プロジェクト予算の一部を活用して、ニホンナシ「幸水」の休眠期間中(初秋から初春)の花芽の発育についてMagnetic Resonance Imagingにより解析を行い、自発休眠覚醒と芽の大きさの変化は対応しておらず、ニホンナシの花芽は開花前に急速に大きくなり、少なくともこの時に細胞分裂関連(cyclase)、水チャネル関連{tonoplast intrinsic protein(TIP)とplasama membrane intrinsic protein(PIP)}、そして細胞肥大関連(expansin)の遺伝子の発現が誘導されることを示した。
また、休眠相の転換にsmall RNA(sRNA)が関与している可能性を探るため、small RNA-seqと分解物の網羅的解析(degradome)を行った。多くの既知のmicroRNAs (miRNAs) とナシ特異的なmiRNAs は自発休眠期と他発休眠期でそれらの発現は大きく変化していなかった。一方、218,050の中の1,540 のsRNA座は休眠期で発現レベルが変化していたことから、miRNA以外にheterochromatic siRNA (hc-siRNA)やphased/secondary siRNA (pha-siRNA)等が休眠相の変化に関与している可能性を示した。さらに、EARLY BUD-BREAK (PpEBB)遺伝子についても解析を進め、PpEBBがサイクリン遺伝子の発現制御を介して萌芽に関わっている可能性を示した。
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