研究課題
基盤研究(B)
感受性誘導阻害により、植物の自然免疫を活用する青枯病防除技術開発の基盤研究として、青枯病感受性誘導機構を網羅的に解明することを目的とする。そのための第一の目的である青枯病菌がIII型分泌系を介して宿主細胞内に分泌する青枯病感受性誘導を行うタイプIIIエフェクターの同定を行った。まず、青枯病菌OE1-1株のゲノム情報を基にして、OE1-1株のタイプIIIエフェクター候補遺伝子を選抜した。さらに、ベンサミアーナ植物感染3時間後の、OE1-1株でのそれらタイプIIIエフェクター遺伝子の発現を時系列的に解析し、OE1-1株において特異的に発現が誘導されるタイプIIIエフェクター遺伝子を40個選抜した。さらに、一過的発現用Agrobacteriumベクターを用いて、OE1-1株のタイプIIIエフェクターライブラリーを作製した。また、青枯病菌は、植物へ侵入直後に、細胞間隙で植物細胞表面に固着し、そしてそれに続いてバイオフィルム形成を行うことを明らかにした。そして、この細胞間隙での植物細胞表面への固着とバイオフィルム形成が、青枯病菌が宿主植物細胞内にIII型分泌系を用いてタイプIIIエフェクターを分泌するために不可欠であることを明らかにした。新規二次代謝産物であるラルフラノン類化合物6種とレクチンRS-IILがそれらに関与しており、ラルフラノン類化合物6種とレクチンRS-IILの生合成に関わる遺伝子発現制御システムを明らかにした。そして、ラルフラノン類化合物6種とレクチンRS-IILの生合成に関わるシグナル伝達系の解析から、細胞間隙液がラルフラノン類化合物6種とレクチンRS-IILの生合成に適した環境条件であることを明らかにした。タイプIIIエフェクターの分泌のタイミングについての貴重な知見を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
青枯病感受性誘導に関わるタイプIIIエフェクターの同定にはいたらなかったが、一方、青枯病菌の感染システムについての生物化学的解析と電子顕微鏡解析から、感染直後の細胞間隙における青枯病菌の感染形態が明らかとなり、その結果、タイプIIIエフェクターを植物細胞内に分泌する環境条件やタイミングについての知見が加わった。これらの結果により、in vitro実験では、解析が困難であったタイプIIIエフェクターとIII型部のいつ系構成タンパク質をコードする遺伝子の発現制御機構が明らかとなった。
青枯病菌がIII型分泌系を介して宿主細胞内に分泌する青枯病感受性誘導を行うタイプIIIエフェクターの同定・機能解析を行う。第二に、宿主植物における青枯病感受性誘導シグナル伝達系を解明する。これらの青枯病感受性誘導に関わる青枯病菌-宿主植物相互作用の結果を基に、青枯病感受性感知システムを開発し、青枯病感受性誘導機構を網羅的に解明する。
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