研究実績の概要 |
CreDのPPLYおよびPXYモチーフに単独で変異を導入した株において、GFP-MalPの局在を観察したところ,すべての変異株においてエンドサイトーシスの遅延が観察された。プルダウンアッセイによる相互作用解析を行ったところ,PPLYモチーフおよびPXYモチーフの双方がWWドメインとの相互作用に関与していること,PXYモチーフのうちC末端側に存在するPDY配列の寄与が最も大きいことが示された。さらに,これらの株におけるGFP-MalPのタンパク質レベルでの分解をWestern blottingで調べたところ,PDY配列に変異を導入した株において顕著な分解の遅延が認められた。 カルボキシ末端にタグを融合したCreAの安定性を調べた結果, アミノ末端にタグを融合したCreAと比較して半減期が長くなったことから,CreAのカルボキシ末端領域に分解に重要な領域が存在する可能性が考えられた。そこで, カルボキシ末端を欠失させたCreA変異体をcreA破壊株で発現させて安定性を調べた。その結果, 末端の40アミノ酸を欠失させることでカーボンカタボライト抑制(CCR)の誘導・非誘導条件にかかわらず半減期が著しく長くなったのに対し, 末端の20アミノ酸を欠失した変異体では半減期の大きな変化は観察されなかった。これらのカルボキシ末端欠失 CreA の機能相補性を調べた結果,creA破壊によって抑制される寒天培地上での生育は, いずれの変異CreAを導入しても野生株と同等に回復した。一方で, 末端の40アミノ酸を欠失させたCreA導入株では, アミラーゼ遺伝子発現のグルコース添加時の抑制が完全には回復しなかった。以上の結果から, カルボキシ末端から40-20アミノ酸の領域がCreAの分解とCCR特異的な機能維持において重要であることが示された。
|