研究課題/領域番号 |
25292062
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
榊 利之 富山県立大学, 工学部, 教授 (70293909)
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研究分担者 |
加納 健司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10152828)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ビタミンD / シトクロムP450 / ビタミンD水酸化酵素 |
研究実績の概要 |
本研究では二つの課題を並行して実施している。課題1はビタミンD水酸化体の高効率生産で、課題2は血中の25-ヒドロキシビタミンDの高感度システムの開発である。課題1では、CYP105A1の三重変異体による1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の生産が可能になった。分子モデリングによりCYP105A1のMet239の側鎖が立体障害により1α位水酸化反応を妨害していると推測し、Met239を他のアミノ酸に置換したところ、AlaあるいはSer置換体において、25-ヒドロキシビタミンD2に対する1α位水酸化活性が飛躍的に上昇した。また、この三重変異体を放線菌Rhodococcus erythropolisで発現させることにも成功した。この成果により、特許を出願した。課題2では膜結合型シトクロムP450であるCYP3A4およびCYP21A2を用いてP450電極の基礎を固める研究を実施した。ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド(DDAB)存在下でCYP21A2を修飾した電極を用いて電気化学測定を行った。その結果、CYP21A2は酸素の4電子還元反応を触媒し、水分子を生成することがわかった。一方,基質となる17α-ヒドロキシプロゲステロンを添加したが,酵素反応による電流の変化は見られなかった。シトクロムP450の電極への固定化率を上昇させる必要があると考えている。 おおむね順調に進展している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1については放線菌由来CYP105A1に三重変異体を用いた1α,25-ジヒドロキシビタミンD2の生産が可能になった。すなわち、安価なビタミンD2を基質とし、きわめて高価な1α,25-ジヒドロキシビタミンD2を生産することが可能になり、特許出願につながった。 予想以上の進展が見られたと考えている。一方、課題2については電極への固定化率に問題があることが明確になり、進展がみられたとはいえないが、来年度に向けて方針が明確になった。全体としては概ね順調に進展しているという言い方ができると思う。
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今後の研究の推進方策 |
課題1についてはCYP105A1の三重変異体を発現するRhodococcus erythropolis菌体により1a,25-ジヒドロキシビタミンD2の製造を試みる。また、マウスCYP27B1とその電子供与体であるアドレノドキシンおよびアドレノドキシン還元酵素との同時発現を試みる。また、課題2についてはCYP105A1のC末端に付加したHis-tagを利用することによりN-(5-amino-1-carboxypentyl)iminodiacetic acid (AB-NTA)を用いてCYP105A1の三重変異体を電極表面に配向させ、目的とするP450電極を完成させる。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬、器材などの消耗品費が当初の予定よりも少額で済んだことによる。
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次年度使用額の使用計画 |
薬、器材などの消耗品を購入する予定である。
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