研究概要 |
カルラクトンの有機合成を繰り返し試みたが、目的物を得ることは甚だ困難であった。そこで、Alder et al.(Science, 335, 1348-1351, 2012)によって報告された酵素合成を追試した。ソルガムのD27、CCD7、CCD8遺伝子を大腸菌で発現させ、粗酵素を用いてbeta-カロテンの変換を試みた。しかし、D27の活性が低くカルラクトンを得ることは困難であった。そこで、CCD7の基質である9-cis-beta-カロテンを市販のドナリエラ乾燥藻体より抽出・粗精製し、これを基質としてカルラクトンを酵素合成した。CDスペクトルを文献値(Seto et al., PNAS, 111, 1640-1645, 2014)と比較し、得られたカルラクトンの11位の立体を(R)と確認した。一方、トレーサー実験によって、ソルガムにおいて5-デオキシストライゴールがソルゴモールに変換されることを見出した。この変換は2-OGD阻害剤であるプロヘキサジオンによっては影響を受けないがP-450阻害剤のフルリドンによって阻害された。このことから、5-デオキシストライゴールのソルゴモールへの変換にはP-450が関与していると考えられた。
|