ストライゴラクトン(SL)は、C環の立体化学の違いにより、5-デオキシストライゴール(5-DS)型と4-デオキシオロバンコール(4-DO)型に大別できる。これまでに様々なSLを生産することを確認してきた8種類の植物に、酵素合成により調製したカルラクトン(CL)を投与し代謝させた結果、LC-MS/MS分析で合成カルラクトン酸(CLA)と一致する成分に変換されることを確認した。これらから、5-DS型、4-DO型に関わらずcanonical SLを生産する植物ではCLからCLAは共通の生合成経路であると考えられた。さらに、BC環を形成しないnon-canonical SLであるヘリオラクトンを生産する植物でもこの変換が確認された。CLあるいはCLAが様々なSLに変換されることを確認したが、4-DOあるいは5-DSが必ずしも変換されるわけではないことを見出し、CLA以降のSL生合成経路は必ずしもデオキシ型DSを経るわけではないことが判明した。これらデオキシ型SLを経由しない一部の植物で、質量分析の結果から生合成中間体と考えられる酸化を受けたCLと考えられる成分を確認したが、構造の特定には至らなかった。一方、ソルゴモールを生産する植物から候補遺伝子を探索し、そのうちの一つを異種発現して得たタンパク質が5-DSの9位を酸化してソルゴモールへの変換を触媒することを見出した。これを、ソルゴモールを生産しない植物に形質転換することでソルゴモールの生産能を賦与できるかどうかの検証を進めた。現在、形質転換体を育成しているところであり、培養根あるいは個体が得られた次第、生産するSLの分析を行う。
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