研究課題
植物の免疫システムの一つであるETI(Effector-triggered immunity)の誘導機構を明らかにすることを目的として研究を行った。これまでの研究で、植物病原細菌Acidovorax avenaeのイネ非病原性N1141菌株からEFS以外の新たなエフェクタータンパク質として、IPPTというタンパク質を同定した。そこで、平成27年度は、IPPT遺伝子欠損変異体を作成し様々な解析を行った。その結果、この変異体は非宿主のイネに対してはETI反応を引き起こせず、N1141菌株のIPPTがETI誘導を引き起こすことが示された。一方、イネ病原性K1菌株もIPPTを有しているが、K1菌株のIPPTはイネのETIを誘導できなかった。K1菌株とN1141菌株のIPPTは350アミノ酸で構成されているが13アミノ酸の置換が認められる。そこで、このIPPTを交換したK1菌株とN1141菌株を作成したところ、N1141のIPPTを持つK1菌株がETIを誘導した。両IPPTは植物に感染したときにのみ発現誘導されていることをRNA-Seq解析で明らかにし、これらIPPTが実際に植物体内に分泌されていることをCYA融合タンパク質で明らかにした。このことは、N1141菌株のIPPTはイネ植物内で、特異的に認識されて免疫反応を誘導することを示している。そこで、N1141菌株のIPPTに結合するタンパク質について酵母Two-hybrid法を用いて解析した。N1141菌株のIPPTをBaitにしてスクリーニングを行ったところ、Pyruvate decarboxylase isozyme 1 (PDC)を同定した。興味深いことに、このタンパク質はK1菌株のIPPTとはまったく結合しないことも明らかとなり、このタンパク質がN1141菌株のIPPTの特異的な受容体である可能性が強く示唆された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) 図書 (1件)
Biosci. Biotech. Biochem.
巻: 80 ページ: 748-760
10.1080/09168451.2015.1123610.
Mol. Plant Microb. Interact
巻: 28 ページ: 648-658
org/10.1094