小腸上皮細胞の約0.4%を占める刷子細胞の分化機構と細胞機能は不明であった。本研究では、以前我々のグループが味蕾の甘味、苦味、うま味細胞への運命決定を司ることを報告した転写因子Skn-1aが、小腸刷子細胞の分化も制御していることを明らかにした。Skn-1欠損マウスは野生型マウスと比べて、摂餌量には差がなかったが、カテコールアミン分泌量の増大によって消費エネルギーが増加したために、低体重・低体脂肪を示した。以上より、腸脳軸を介した新しい生体恒常性維持機構の存在が示唆された。今後、これらの細胞に作用する食品由来因子を探すことによって、肥満や糖尿病の新たな治療法の開発に繋がることが期待される。
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