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2013 年度 実績報告書

油脂のセファリックな信号解析に基づく人工油脂の設計に向けた科学的基盤構築

研究課題

研究課題/領域番号 25292071
研究種目

基盤研究(B)

研究機関京都大学

研究代表者

伏木 亨  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20135544)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード油脂 / 頭相信号 / 嗜好性
研究概要

油脂のおいしさに関わるセファリックな信号として酸化されたときに生じる揮発性香気に着目した。市販されているオリーブ油は、それを再精製した直後の新鮮なオリーブ油に比べて、動物の嗜好性が高い。この嗜好性の差は、油脂が軽度に酸化されて、油脂存在のセファリックな手がかりとなっていることを明らかにした。
新鮮な油脂を短時間高温処理、あるいは室温で長期間放置したもののいずれの場合でも軽度の酸化が観察され、動物の嗜好性が有意に増した。酸化油脂の香気画分を採取して、新鮮な油脂に添加すると、動物の嗜好性が増した。
酸化画分の添加は極めて微量の時(0.0075%程度)に有効であり、ある濃度を超える(0.1%以上の添加)、実験動物は忌避した。
油脂酸化香気画分をガスクロマトグラフィーによって分析したところ、いくつかの酸化による特徴的なピークが観察された。現在、それらの成分を分析しているところである。
これらの動物の行動には、嗅覚が関与している可能性が高い。物理的に嗅覚を破壊したマウスを用いて、軽度酸化油脂香気画分の新鮮油脂への添加による嗜好性の変化を検討したところ、嗅覚を破壊した動物では嗜好性の変化が観察されず、嗅覚がセファリックな情報として寄与している可能性を明らかにした。市販のオリーブ油脂は、新鮮な物に比べて、すでに軽度な酸化を受けている状態にある。この酸化香気は油脂が存在することの手がかりとなって、動物のみならず人間の嗜好性に関与している可能性がある。人間のパネルを用いた嗜好性の検討を行う必要があると思われる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

油脂の嗜好性を高めるセファリックな信号として油脂香気が嗅覚を介して寄与していることを明らかにできた。この画分の採取と成分解析も進んでおり、当初の計画が十分に達成できている。

今後の研究の推進方策

25年度で得られた油脂酸化香気画分の成分のうち、動物の嗜好性に特に強く寄与している成分(あるいは複数の成分群)を特定する。この成分が、オリーブ油のみならず。多の食用油脂に共通する成分であるかを明らかにしたい。これらの成分が、食品の嗜好性向上に寄与することを明らかにして、低カロリー油脂の嗜好性増強を可能にする研究基盤としたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Effects of Aroma Components from Oxidized Olive Oil an Preference2013

    • 著者名/発表者名
      Nakano K, Kubo H, Matsumura S, Saito T, Fushiki T
    • 雑誌名

      Biosci. Biotechnol. Biochem

      巻: 77 ページ: 1166-1170

    • DOI

      10.1271/bbb.120861

    • 査読あり

URL: 

公開日: 2015-05-28  

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