研究課題
油脂の濃度が20%を超えるような非常に高いもの、1から10%程度の通常色のレベル、0.01%以下の嗅覚レベルのものについて、それぞれの嗜好性のメカニズムをマウスの行動科学を用いて解析した。油脂に対する嗜好性には、油脂の濃度によって、ドーパミン神経、βエンドルフィン神経の寄与が異なることが明らかになった。また、油脂の濃度が0.1%以下のサンプルに対してもマウスの嗜好性が観察された。これは嗅覚領域の応答であることが明らかになった。さらに、油脂の分解した脂肪酸や酸化生成物の寄与も、油脂の手がかりを与える嗅覚刺激として指向性に寄与することが明らかになった。これらのことから、油脂に対する指向性には、高濃度の油脂に対する病みつき感、中程度の濃度の油脂に対する視床下部の積極的な選択、ごく低濃度の油脂に対する嗅覚刺激受容の3つの階層が存在することが示唆された。今後、油脂を含む嗜好性食品の開発において、重要な科学基盤を明らかにした点で意義のある成果である。酸化された油脂と相互作用するCD36分子が、味蕾の味細胞のみならず、マウスの嗅粘膜上皮に大量に発現していることを明らかにした。このCD36がマウスの油脂酸化物嗜好性や忌避に関与しているかどうかは今後の研究課題である。この結果は、形態学的な観察結果を中心にして論文として発表した(PLoS One)。また、マウスは、酸化された油脂を含む溶液を、含まない溶液よりも低濃度であれば選択的に摂取することも明らかにした。濃度が高い時には酸化油脂は忌避された。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 2件)
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