研究課題/領域番号 |
25292089
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
黒田 慶子 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (20353675)
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研究分担者 |
石井 弘明 神戸大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50346251)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ナラ枯れ / ブナ科樹木萎凋病 / イチジク株枯病 / 水ストレス / 通水阻害 / 木部樹液 / 環境要因 / 養菌性キクイムシ |
研究実績の概要 |
課題2 自然環境下における感受性変動要因の検出および応用技術への発展 B.ナラ枯れ感受性に関わる生理的要因の解明_ナラ枯れ被害発生中の調査林分(兵庫県篠山市)では、発生初年度(被害を目視で発見した年)から枯死木を除去しないままにすると、2~3年目で林内のナラ類の多数にカシノナガキクイムシの穿入が起こり、全く無被害の個体は確認できなくなった。しかし、同斜面のナラ類(アベマキ、コナラ)総数87本に対して枯死本数20、枯死割合は23%という低率であった。昨年度調査の段階で、カシノナガキクイムシ穿入密度が1頭/100㎠以上であった個体で、H27年度も生存が確認された個体があった。斜面中腹~下部で生残木(穿入があったが枯れなかった個体)が目立ったこと、穿入が多くて枯れない例が認められたことから、病徴進展を止めた要因として土壌水分量が多かったことが考えられる。つまり夏季の蒸散量が多い時期に、樹幹下部でカシノナガキクイムシの孔道形成により通水阻害が進んだ個体が生存し続けられるかどうかは、根からの水分供給に依存する可能性が考えられる。 C.総合的検証_感受性指標による自然感染リスクの推測:カシノナガキクイムシ穿孔数が同程度の個体で、土壌水分の多い場所で枯れにくい傾向が認められた。ナラ枯れ被害木は大径木ほど枯れやすいことは指摘されているが、大径木で穿孔被害がありながら生存する場合があること、その要因として土壌水分あるいは土壌の性質が関わる可能性が示唆された。防除対策では樹齢や幹直径に加えて植生・環境データを含めて被害リスクの高さを判断するのが望ましい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
植生調査と生理的計測は終了し、本研究の大半は完了した。ただし、大径樹木の伐採と搬出作業をH28年1月に実施したため、樹幹断面の解析(年間成長量の推移)は現在実施中である。これを加味したデータ整理はH28年5月ごろに完了の予定である。
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今後の研究の推進方策 |
学会誌投稿論文が植物病理学会誌に受理された段階であり、H28年度に掲載予定である。また、最終的なデータのとりまとめの後に学会発表を行う予定で、論文の投稿についても準備中である。
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次年度使用額が生じた理由 |
大径の樹木の伐採を専門家に依頼したが、その伐採と搬出作業がH28年1月となった。この遅れのために、樹幹断面の解析(年間成長量の推移)は現在実施中であり、データ整理はH28年5月ごろに完了の予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
学会誌投稿論文が掲載決定されたが、H28年度に約15万円の掲載費が必要となる。また、最終的なデータ整理の補助には雇用費用が必要となるほか、学会での報告、投稿準備中の論文の校閲・掲載のための経費を必要とする。
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