研究課題/領域番号 |
25292098
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
吉村 研介 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, チーム長 (30353915)
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研究分担者 |
吉丸 博志 独立行政法人森林総合研究所, 多摩森林科学園, 園長 (20353914)
勝木 俊雄 独立行政法人森林総合研究所, 多摩森林科学園, 主任研究員 (10353640)
能城 修一 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, チーム長 (30343792)
山本 節子 (鈴木 節子) 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (70456622)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 分類形質 / 遺伝育種 / DNAバーコード / 日本産樹木 |
研究概要 |
DNA バーコードとは、短いDNA 配列情報で、種の同定を行う手法であり、樹木のいかなる部位(葉、材、根、花粉など)からでもDNA が抽出できて、樹種の特定が出来るDNA バーコード情報の構築を目指している。これまで、森林総研と東北大学との共同による木材標本、さく葉標本、さらに大学演習林などに協力して収集した標本等、7000個体、1039種のさく葉標本とそのDNA を収集している。 本年度終了時点でrbcL部分配列は973種、5998個体、trnH-psbA遺伝子間領域は929種、5104個体の配列を明らかにしている。また、これまで解析が困難であった葉緑体DNA のmatK 部分配列を、新たなプライマー2 組でダブルPCR を行い増幅してシーケンスを行った結果、matK部分配列について、累計で747種、3500個体明らかにした。しかしながらダブルPCRはコンタミする可能性が高いため、DNA バーコードの実用化に当たっては難点があることが判った。 DNA バーコードの種の識別能力は、rbcL部分配列では45.1%、trnH-psbA で68.8%、matK で67.0% であった。3つの領域全てを組み合わせた場合では76.9% であった。標本の個体情報および塩基配列情報は、JBOLI(Japanese Barcode of Life Initiative)が一員であるCBOL(Consortium for the Barcodeof Life)が運営する国際的なデータベースシステムBOLD(Barcode of Life Data Systems)に入力した。これらの情報は、同定支援システムに活用される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで、サンプルが無い、もしくはサンプルが少なかった樹種について、サンプルを収集し集積している。 解析が困難である葉緑体DNAのmatK部分遺伝子領域について、ダブルPCR を行い増幅してシーケンスを行った結果、解析が進みつつある。2度PCRをかけることによりコンタミする可能性が高いことが判ったので、DNA バーコードの実用化に当たって、その防止策を講じる必要が有ることが判った。
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今後の研究の推進方策 |
これまで、解析が困難であった葉緑体DNAのmatK部分遺伝子領域を、新たなプライマー2組でダブルPCRを行い増幅してシーケンスを行う。 これまで収集されたサンプル数が少なく種内変異があるのかどうかわからない種を中心に、個体数を増やしてDNAバーコードデータベースを充実させる。 rbcL、matKの国際標準のDNAバーコード領域では分類できない分類群について、核DNAのITS2などを中心に新たなバーコード領域として遺伝子領域の探索を行う。 過去に収集されたさく葉標本の活用を目指し、古いさく葉標本からのDNA抽出を試みDNAの劣化の具合などを調べる。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画上、一部の試薬を次年度で購入した方が、効率的なため、繰り越した。 25年度に収集した資料の、シーケンス用の試薬に使用する。
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