研究課題/領域番号 |
25292100
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研究機関 | 国立研究開発法人 森林総合研究所 |
研究代表者 |
齊藤 哲 国立研究開発法人 森林総合研究所, 植物生態研究領域, 室長 (30353692)
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研究分担者 |
山川 博美 国立研究開発法人 森林総合研究所, 九州支所, 主任研究員 (00582751)
永松 大 鳥取大学, 学内共同利用施設等, 教授 (20353790)
新山 馨 国立研究開発法人 森林総合研究所, 国際連携推進拠点, 拠点長 (70353795)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 台風撹乱 / 被害量 / 回復速度 / 再来間隔 |
研究実績の概要 |
本研究は、地球温暖化により突発的気象現象である台風の頻度・強度が変化する場合の森林群落への量的質的な影響を評価することを目的とする。今年度は最寄りの宮崎地方気象台で最大瞬間風速30m/sを越える強風が一度記録されたが、対象調査地の定期モニタリングでは特に大きな被害は確認出来なかった。 現状の枯死に関するサブモデルと回復に関するサブモデルの関係のままでは百年後に数オーダー異なるスケールで個体数が増加する計算結果となる種もみられた。実際にこれまでの観測期間だけのデータでは同様の回復速度であった。一方で、胸高直径5cm以上のサイズクラスの回復速度は胸高直径5cm未満のサイズクラスの稚樹の量に大きく影響される点も指摘した。観測期間中では実際、稚樹数が豊富であった種の回復速度が大きかった。しかし、前年度の屋久島における稚樹の調査でも明らかになったようにシカの影響など様々な要因で稚樹数は大きく変動する。このように稚樹の動態も反映させることにより回復に関するサブモデルの改善が図られると考えられる。稚樹の動態も新たな稚樹サイズクラスへのリクルート数、枯死数、上層サイズクラスへの進級数等によって決まる。これまで実施してきており稚樹に関するモニタリングデータを用いて、稚樹の動態モデルの開発が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H27年度もフィールド調査として予定していた綾試験地の成木(胸高直径5cm以上)のモニタリングを実施した。H28年度に稚樹の調査を実施する予定であるが、これまでの解析結果から、個体群全体の動態に及ぼす稚樹量の影響が非常に大きいと判明し、H27年度予定していた萌芽の調査を次年度にまわし、成木センサスを実施している調査区画全域でより詳細に稚樹センサスを実施する計画とする。 回復に関するサブモデルにおいて稚樹量を反映させたものに改善するなど、全体の予測モデルにおいて高度化する方向が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
詳細な稚樹センサスを実施すると共にその結果を反映させたモデルに改善する。そのモデルを用いて、台風の頻度が大きくなる場合や頻度は変わらず強さだけが大きくなる場合など様々なシナリオにおいて、各種の個体群動態を予測し森林への量的・質的な影響を評価する。
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次年度使用額が生じた理由 |
詳細な稚樹センサスを実施する必要が生じたため、H27年度実施する予定であった萌芽調査をH28年度予定の稚樹センサスと合わせて大規模に実施することとし、今年度の稚樹センサス用に考えていた金額を次年度に繰り越す。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年10月下旬および11月下旬に実施する稚樹センサスにおいて参加研究者の旅費、および現地雇用者の賃金として使用。またその準備としてラベルを作成するために雇用する者の賃金として使用。
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