研究課題/領域番号 |
25292102
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
土川 覚 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (30227417)
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研究分担者 |
藤本 高明 鳥取大学, 農学部, 准教授 (40446331)
山本 浩之 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (50210555)
稲垣 哲也 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (70612878)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 非破壊計測 / 可視化 / 応用分光学 / 含水率 / 密度 / バイオマス / 林学 / 多変量解析 |
研究実績の概要 |
本研究は、ディジタル画像の各ピクセルに格納された分光スペクトルを多変量解析して所望の物質情報を可視化するハイパースペクトラルイメージング法(HSI 法)を近赤外領域で展開し、木材の材質を総合的に判断するこれまでにないハイスループット型非破壊計測手法(NIR-HIS 法)の確立を目指すものである。 平成26年度は、NIR-HIS 測定による密度・あて材等推定の可能性および化学成分定量の一環として、針葉樹と広葉樹の判別可能性について検討した。 まず、スギ材木口面円板のハイパースペクトラル画像(波長領域:913-2519nm)を取込み、多変量解析の一種であるPLS回帰分析に基づいて、含水率、密度に関する検量線を作成した。それぞれの決定係数は、0.82および0.84となり、高精度で両者の推定が可能となることが示唆された。マッピングの結果、心材近傍の白線帯が低含水率状態にあることが確認できた。また、同法によって、圧縮あて材部を明確に可視化することができた。 次に、針葉樹5種類および広葉樹5種類のハイパースペクトラル画像を取込み、主成分分析による針葉樹・広葉樹判別の可能性を検討した。2次微分処理や2値化等の画像処理プロセスを経ることによって、両者を明確に分離することができた。1700-1900nm波長領域に出現するヘミセルロース由来のCH基吸収バンドが判別に有用な情報をもたらすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定であったスギ材の含水率、密度のNIR-HISマッピングも可能となり、また、アテ材や白線帯等の欠点部位の可視化にも成功した。これらの実験結果を取りまとめて、国際会議で発表するとともに、国際誌への発表も果たせた。 さらに、針葉樹・広葉樹の判別分析も同法によって行えることが、分光学的な裏付けを伴って証明できた。 以上より、当該課題はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
当該研究課題は、平成27年度が最終年度となる。測定面における詳細な水分分布マッピングが主たる研究目標となるが、とくに、水分分布の時間経過を自由水と結合水に分離して表示することを試みる。また、ミクロフィブリル傾角等の物性パラメータの材内変動の可視化も行い、その分光学的背景についても考究する。 一連の研究成果を取りまとめて、NIR-HIS 法の木質科学分野における今後の利活用について総括する。
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