研究課題/領域番号 |
25292104
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
梅澤 俊明 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (80151926)
|
研究分担者 |
鈴木 史朗 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (70437268)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | リグニン / 代謝工学 / 有機化学 / 有機工業原材料 / 芳香族資源 |
研究概要 |
再生可能資源・エネルギーの利用技術開発においては、木質資源由来のバイオリファイナリーシステムの構築が主要課題の一つとなっている。このシステムの経済性向上には、リグニンの高付加価値有効利用方法の確立が鍵となっている。リグニンの利用研究は既に半世紀以上の歴史があることから、リグニン利用の新展開に到達するには、従来まったく未着手の方向からの研究推進が必須である。そこで、本研究では、従来未開拓の有機化学と代謝工学の融合によるリグニンの新規有効利用基盤の構築を最終目的として研究を進めている。すなわち、リグニンの新規化学変換法の開拓を進めるとともに、近年格段に進展した植物バイオテクノロジーを駆使して、単離が容易で、反応性に富み、かつ単純な芳香核構造を有する新規リグニンを、生育に影響を及ぼさない形で高蓄積した植物を作出するための基礎研究を推進している。 本年度は、リグニン生合成改変形質転換イネ試料並びに大型イネ科植物(エリアンサス)試料を用いリグニンの反応性と構造の相関について検討した。すなわちまずこれらの植物試料につき、細胞壁画分を調製した。ついで、これらのイネ試料を塩基性加水分解に供し、得られた分解産物のリグニン分析などを行った。特に、従来報告のない超高分解能質量分析のリグニンオリゴマー画分への適用を行った。そこで結果を、従来分析済みのこれらの形質転換イネおよびエリアンサスのリグニンの基本性状と比較することにより、シリンギルリグニン含量の多いリグニンの場合、オリゴマー画分量が増加することが示唆された。現在この結果の一般性について、リグニン構造の異なる多くの植物試料を用いてさらに検討を進めている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の計画にないリグニン分解物中のオリゴマー画分に関する高分解能質量分析を実施し、新知見を得たため。
|
今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、構造改変リグニンを持つイネを育成する。 得られた形質転換イネの各器官につき、リグニンの量及び構造に関する詳細な知見を得る。 リグニンの構造を解析した形質転換体のうち、リグニン構造の変異の大きいものにつき、各期間をリグニン分解の一般的手法(塩基性加水分解、熱分解等)に供し、リグニン分解(単離)性並びに各種反応性を解析する。 各種リグニンモデル化合物を用い、酸性還元反応など、従来リグニンに適用されていない新規反応の概要を解析する。 さらに、新規変換反応の高分子リグニンに対する適用性の解析を行う。
|