研究課題/領域番号 |
25292106
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
岸本 崇生 富山県立大学, 工学部, 准教授 (60312394)
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研究分担者 |
荻田 信二郎 富山県立大学, 工学部, 准教授 (50363875)
鈴木 聡 富山県農林水産総合技術センター(農業研究所、森林研究所及び木材研究所), その他部局等, 研究員 (50446639)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | バイオマス / イオン液体 / セルロース / NMR |
研究概要 |
常温溶融塩とも呼ばれるイオン液体にある種の極性有機溶媒(共溶媒)を混合したイオン液体・有機溶媒混合溶媒系に,微粉砕化した木質バイオマスを温和な室温条件下で完全に溶解できること,さらにエステル化等の均一誘導体化ができることを報告している。このイオン液体混合溶媒系はNMR(核磁気共鳴)法を用いた細胞壁全成分(リグニン,セルロース,ヘミセルロース)の解析に利用できる。本研究では,さらに効率の良いイオン液体混合溶媒系を探索するとともに、この溶媒系をさらに発展させ,植物細胞壁成分の網羅的解析および木質バイオマスの有用物質への変換のためのプラットフォームとすることを目的としている。 イオン液体・混合溶媒系の探索では、アミノ酸をアニオン部に持つ様々なイオン液体を合成した。このイオン液体自体のセルロース溶解能はあまり高くないが、極性有機溶媒との混合溶媒を用いることにより、温和な条件下でセルロース溶解能が高い組み合わせを得ることに成功した。セルラーゼにイオン液体などへの耐性を付与するため、ポリエチレングリコール(PEG)が導入されたPEG化セルラーゼを調製し、電気泳動やタンパク定量により、PEG鎖の導入を確認した。NMRを用いた細胞壁全成分の網羅的解析法の応用では、当年生の未成熟タケの木化の程度の異なる試料を、ボールミル処理してイオン液体混合溶媒系への溶解・アセチル化後、NMRによる解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
セルラーゼへのポリエチレングリコール鎖の導入ができることを確認した。セルロース溶解能の高いイオン液体と共溶媒の組み合わせも得られた。これらのことから、おおむね順調に進行しているとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、PEG化セルラーゼの活性を明らかにし、イオン液体処理したセルロースの反応を進める。イオン液体・混合溶媒系の探索も引き続き続ける。NMRによる細胞壁成分の解析では、引き続きピークの同定など解析を続ける。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越額2万円は全体の使用計画700万円と比べると些細な額であり、新年度当初に必要になる消耗品に充てる予定であるが、全体の計画に大きな影響を与えるものではない。 主な機器として、マイクロ波合成装置を購入する。繰り越し分2万円を含めその他は試薬や溶媒などの消耗品(物品費)に充てる予定である。
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