研究課題/領域番号 |
25292111
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
香川 聡 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 主任研究員 (40353635)
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研究分担者 |
藤原 健 独立行政法人森林総合研究所, 木材特性研究領域, 室長 (00353839)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 年輪 / 同位体 / 産地 |
研究概要 |
本年度は、ドリルにより粉末化させた試料を想定した、セルロース試料の酸素同位体比の繰り返し測定を行った。従来の酸素同位体比分析では、試料を銀箔に包んで同位体比を分析するが、同様に木材をドリルで削った状態の試料を模したセルロース試料を測定した場合、酸素同位体比を十分な精度で測定できることが明らかとなった。そこで、同位体測定装置の試料導入部の主要構造部のうち、年輪薄片試料をドリルで削る部分を作成し、また削った試料の同位体比を0.1‰程度の精度で測定できることを確認した。 また、セルロースの酸素同位体比を測定する場合、セルロースの吸湿性のため、その水分をいかに除去するかが重要になる。オートサンプラー(Costech社製)の密閉容器中を真空にして、ヘリウムを充満させ、15分程度放置した後、再びヘリウムを排気して真空にするプロセスを3回程度繰り返すことにより、セルロース中の水分・窒素等を効率的に除去できることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本課題は分析装置を開発するため、あらかじめ起こる問題を予見することが難しく、想定外の技術的課題に直面した。装置の設計のために必要な予備実験や、セルロースを脱水する方法の確立等に予想以上に時間がかかった。このため、研究計画を大きく見直し、装置の設計に時間をかけることにした。また、年輪の安定同位体比を測定する際、薄片試料からセルロース抽出をする必要があるが、前処理方法の部分で想定外の成果を得たことから、現在論文化を進めており、これを優先させるため全体計画を見直すこととした。
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今後の研究の推進方策 |
予備実験の結果を踏まえて、次年度以降に装置の主要部の製作を行うこととした。初めに多額の投資をしてステンレス製の密閉容器を作成し、不完全な装置を作成するよりは、加工が容易なクリル板などで試作品を作り、試行錯誤を繰り返しながら、装置を作成するほうが良いという結論に至り、今後は装置を作成する部分により多くの時間を割くことを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
予備実験を行ったところ、粉砕した木材試料が静電気によりうまく落下しないなどの当初予想できない技術的課題に直面し、装置の設計に時間がかかった。装置の製作を延期することにしたため、次年度に研究費を繰り越すこととした。また、同位体測定の場合、あらかじめ試料薄片をセルロース化することが必要であるが、この部分で予想外の成果が出たため、早期に論文化するための時間が必要となったため。 開発する装置の基本部分である、ステンレス(またはアクリル)製密閉容器および、XYステージ、Zステージ等の主要部分は、仕様が決まらないため、次年度以降に購入することとした。
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