研究課題/領域番号 |
25292113
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
豊原 治彦 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90183079)
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研究分担者 |
渡邉 哲弘 京都大学, その他の研究科, 助教 (60456902)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 土壌 / 干潟 / 酵素 / バイオリアクター / 鉄 / アルミニウム |
研究概要 |
これまでの研究から、湿地帯底泥の土壌は酵素タンパク質を結合し、土壌バイオリアクターとして機能することが明らかとなっている。本研究では、土壌バイオリアクターの酵素吸着機構を明らかにする目的で、日本各地から特異的な組成を有する土壌を採集し、それらのタンパク質結合能を比較するとともに鉱物学的分析を行った。 風蓮湖、網走湖、石狩川、沙流川、野付半島、大正池、マーレ川、小川原湖、有明海、永源寺、京大圃場、雄阿寒岳から採集した土壌をオートクレーブし実験に供した。タンパク質結合能は、ウシ血清アルブミン(BSA)とカゼイン、及び各種酵素(トリプシン、セルラーゼ、アミラーゼ)に対する結合能を調べることにより評価した。BSAとカゼイン量はLowry法で、トリプシン活性はカゼインを基質としてLowry法で、セルラーゼ活性は還元糖定量法で、アミラーゼ活性はヨウ素澱粉法で測定した。鉱物分析は質量分析法、粘土含量はピペット法、 有機物含量は強熱減量試験により求めた。 雄阿寒岳の土壌のいずれに対しても特に強い結合能を示した。風蓮湖、大正池、及びマーレ川の土壌も高い吸着能を示したが、永源寺、京大圃場、網走湖、石狩川、沙流川、野付半島、小川原湖、有明海の土壌の結合能は弱かった。 鉱物分析の結果、粘土含量と有機物含量とタンパク質と酵素吸着能の間に相関性は見られなかった。しかし、雄阿寒岳の土壌は他のものと比べて、アルミニウム含量が高かく、風蓮湖、大正池、及びマーレ川の土壌は高い鉄含量が示した。これらの結果から、土壌バイオリアクターの酵素能にはアルミニウムと鉄が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画していた全国各地の土壌と各種酵素との結合性を予定通り明らかにすることができた。特筆すべきは、雄阿寒岳の土壌は他のものと比べて、アルミニウム含量が高かく、風蓮湖、大正池、及びマーレ川の土壌は高い鉄含量が示すことを明らかにしたことである。これらの結果から、土壌バイオリアクターの酵素能にはアルミニウムと鉄が重要な役割を果たしていることが明らかとなった。この結果は、土壌中の金属酸化物が酵素吸着、つまり土壌バイオリアクター機能において、大きな役割を果たしていることを世界に先駆けてあきらかにしたものである。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の結果をもとに、メイオベントス由来の酵素の土壌吸着における金属酸化物の機能を明らかにするとともに、金属酸化物添加による酵素吸着性に優れた土壌バイオリアクターの開発を進めていく。
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次年度の研究費の使用計画 |
全国の干潟での土壌ならびに生物採集を計画していたが、天候不順のため予定通り採集をすることができなかったため、次年度に最終計画を繰り越した。 6月から12月にかけて、昨年度、採集できなかった地点の採集を進める予定である。
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