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2016 年度 実績報告書

干潟のメイオベントスと粘土鉱物の多様性に着目した環境修復生態学の提唱

研究課題

研究課題/領域番号 25292113
研究機関京都大学

研究代表者

豊原 治彦  京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90183079)

研究分担者 渡邉 哲弘  京都大学, その他の研究科, 助教 (60456902)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2018-03-31
キーワードろ過材
研究実績の概要

酵素吸着能に優れた濾過材の作製を目的として、酸化鉄と酸化アルミニウムのアミラーゼ吸着能を調べた結果、酸化鉄0.96 units/g 、酸化アルミニウム1.58 units/g であり、これは酸化マグネシウム0.29 units/g、市販濾過材であるサブストラットプロ0.22 units/g やメガリング0.18 units/g、モンモリロナイト0.57 units/gやカオリナイト0.55 units/g に比べて著しく高い活性であった。理論値(非吸着活性から算出される吸着したと予想されるアミラーゼの活性)を求めたところ、酸化鉄1.89 units/g 、酸化アルミニウム1.87 units/gであり、酸化マグネシウムの2.10 units/g 、市販濾過材であるサブストラットプロ1.65 units/g やメガリング1.74 units/g 、モンモリロナイト2.18 units/g やカオリナイト2.14 units/gとほとんど差がみられなかった。吸着したことによる活性の変化率(実測値/理論値)は、酸化鉄は50.5%、酸化アルミニウムは84.3%、酸化マンガンは88.7%であり、酸化マグネシウムの13.9%、市販濾過材であるサブストラットプロ12.9%やメガリング10.0%、粘土であるモンモリロナイト26.0%やカオリナイト25.9%に比べて顕著に高い値であった。変化率が高かった酸化鉄と酸化アルミニウムについて、焼石膏と橄欖岩を用いて固化しその固化物の実測値を調べた。その結果、固化酸化鉄は0.50 units/g 、固化酸化アルミニウムは0.52 units/g と高い活性を示した。焼石膏と橄欖岩のみの場合の実測値は0.1 units/g であった。理論値は固化酸化鉄1.88 units/g 、固化酸化アルミニウム1.88 units/g 、固化酸化マンガン1.90 units/g であった。焼石膏と橄欖岩のみの場合の実測値は1.68 units/g であった。このことから各種固化物の変化率は固化酸化鉄26.7%、固化酸化アルミニウムは27.8%、固化酸化マンガンは30.8%、焼石膏と橄欖岩のみの場合は6.0%と算出された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

酵素吸着能に優れた濾過材の作製を目的として、各種金属酸化物のアミラーゼ吸着能について調べた結果、酸化鉄と酸化アルミニウムの吸着能が高いことが判明した。酸化鉄と酸化アルミニウム及びそれらの焼石膏と橄欖岩による固化物に吸着したアミラーゼのpH依存性、pH安定性及び熱安定性を調べたところ、吸着によりアルカリ性域の反応性が向上し、pH安定性や熱安定性も向上した。以上のことから、酸化鉄ならびに酸化アルミニウムを用いて高機能な濾過材を作製できる可能性が示唆された。

今後の研究の推進方策

新たに優れた酵素結合能を有することが明らかとなった酸化マンガンについて、枯草菌由来のアミラーゼを用いて吸着能を確認するとともに、結合による酵素活性の性質の変化を、活性のpH依存性、pH安定性、熱安定性の観点から検討する。さらにろ過材としての実用化を検討するために、酸化マグネシウムと硝酸カルシウムを用いて固化させて作製したろ過材についても同様の検討を行う。これらの結果をもとに、すでに検討した酸化鉄及び酸化アルミニウムとの担体としての違いを明らかにし、これらのろ過材の材料としての適性を決定する。

次年度使用額が生じた理由

これまでの本申請研究の結果、酵素結合能に優れた金属酸化物として、当初予想した酸化鉄、酸化アルミニウムに加えて、酸化マンガンに優れた吸着能を見出した。当初予想していなかった酸化マンガンの酵素吸着能の解明に時間を要したため、最終年度に計画していた環境修復生態学の創出に必要な酵素吸着用基盤材の作製に遅れを生じたため、次年度使用が生じた次第である。

次年度使用額の使用計画

酸化鉄、酸化アルミニウムならびに酸化マンガン、及びこれらを含む天然土壌を材料としてろ過材を作製する。天然土壌は全国の火山灰土土壌及びそれらの干潟域から採集する。これらを材料として、固化材(焼石膏、酸化マグネシウム、酸化カルシウムなど)を加えろ過材を作製し、酵素吸着能ならびに有機物分解能を評価することで、環境修復生態学の創出に必要な酵素基盤材を作る。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Degradation of plant-derived carbohydrates in wetlands2017

    • 著者名/発表者名
      T Ogino, W Liu, H Toyohara
    • 雑誌名

      TERRAPUB Aqua-Bioscience monographs

      巻: 未定 ページ: 未定

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] セルラーゼと環境酵素2017

    • 著者名/発表者名
      豊原治彦
    • 学会等名
      平成29年度日本水産学会春季大会
    • 発表場所
      東京海洋大学
    • 年月日
      2017-03-26 – 2017-03-30
    • 招待講演

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公開日: 2018-01-16  

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