研究課題
本研究の目的は,研究代表者が見いだしたバイオ水素生産能の高いVibrio tritoniusを核とした海藻糖質を原料とした連続的なバイオ水素生産技術基盤の構築である。平成26年度は,昨年度に引き続き①連続的かつ安定的なバイオ水素生産を達成するための連続培養系の構築および②新規カロテノイド合成海洋細菌のカロテノイド生成遺伝子の同定を進め,以下の結果を得た。1. V. tritoniusのRNA-Seq解析を行い,本菌の発酵的水素生成の鍵タンパク質複合体をコードするギ酸水素リアーゼ(FHL)遺伝子クラスターの発現はpHの変動による変化が少ないことがわかった。また,FHL遺伝子クラスターは,少なくとも3つのトランスクリプトに転写されていることが示唆された。2. さらに,発酵的水素生成条件下におけるメタボロームを行い,水素生産が高いpH条件下では,カーボンフラックスが副経路に回っていることが示唆された。3. V. tritoniusは,ギ酸から水素を生成可能であることが明らかになった。その最適条件を決定した。また,アルギン酸発酵性ビブリオにより,アルギン酸の生物変換により生成されたギ酸も,V. tritoniusは水素化した。4. 単環式カロテノイドの一種であるmyxolを合成する細菌の多くがNonlabens属の種であり,ほぼ同一のmyxol生合成遺伝子クラスターを有していることが明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
RNA-Seqとメタボローム解析の実施,アルギン酸の水素化,カロテノイド遺伝子クラスター解析,において計画に沿った知見が得られた。
今後,以下の点に重点をおき進める。1. 海藻バイオマスからの効率的な水素生成システムの構築2. カロテノイド生成可能なマリンビブリオ細胞の作出
学内の支払日の都合による。具体的には、高速液体クロマトグラフィー用ポンプのリース代金(3月分)の引き落としが期限内に決算までに終えられなかったため。
高速液体クロマトグラフィー用ポンプの3月分リース代金に使用する。
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Genome Announc.
巻: 2 ページ: -
10.1128/genomeA.01095-14
10.1128/genomeA.01165-14