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2015 年度 実績報告書

魚類の成長を制御する生殖線機能の解明と養殖への利用

研究課題

研究課題/領域番号 25292126
研究機関愛媛大学

研究代表者

三浦 猛  愛媛大学, 南予水産研究センター, 教授 (00261339)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2017-03-31
キーワード成熟 / 成長 / 栄養 / 水流 / 成熟リスク / ティラピア / メダカ / ブリ
研究実績の概要

ティラピアを様々な水流の強度で飼育したところ、水流の強度が強いほど成長速度が早いこと、水流に対する反応は雌雄によって異なることが明らかとなった。
メダカを用いて、飼料の栄養条件と成熟との関係を観察した。その結果、雌に関しては、一般的な飼料に比較して、低タンパク・高脂質、あるいは高タンパク・低脂質の条件の飼料を給餌したメダカの産卵数が増加する傾向が認められた。
給餌コントロールにより、魚類の成熟を制御できるか否かを、養殖ブリを用いて調べた。給餌抑制により成熟を抑制できることは既に明らかになっているので、摂食量の増大が成熟に影響をあたえるか否かを調べた。イカの内臓は、古くより魚類の摂食性を向上させることが知られているが、このイカの内臓の溶解液をブリの飼料に1%添加したところ、消化管でのコレシストキニン遺伝子発現量が上昇するとともに、胃腸管のプロテアーゼ活性が向上し、12.7%摂食量が増加した。実際に1%のイカ内蔵溶解液を添加した飼料を養殖漁場のブリに6ヶ月間給餌したところ、摂食量が増加するとともに、魚体重が有意に増加した。しかしながら、雌雄ともに有意な生殖腺重量の増加は認められなかった。この結果から、給餌制限によって、生殖腺の発達は抑制されるが、過給餌によっては生殖腺の発達は促進しないものと推察された。
作製した飼料の魚類に対する生理学的評価のための遺伝子指標を得ることを目的に、エドワジェラ症に感染し衰弱したメダカと健康なメダカから得られたmRNAによりDNAマイクロアレーを行い、メダカの生理状態の違いにより発現が異なる多数の指標となり得る候補遺伝子を得ることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子レベルでの解析に若干の遅れを生じたが、本年度の研究により、水流が魚類の成長に直接関係すること、魚類の摂食・成長を促進する機能性原料が明らかになるなど、今後の研究に大きく影響するインパクトの強い成果を得ることができた。

今後の研究の推進方策

本研究の成果を、実用化を視野に入れた研究に展開させていくために、当初予定していた計画に加え、本年度明らかとなった水流と成長・成熟の関係、および成長促進物質による成長促進と成熟リスクとの関係を分子レベルで解析していく。

次年度使用額が生じた理由

DNAマイクロアレーの結果を得るのが当初の予定より遅れ、データ解析の委託が次年度にずれ込んだことが主な理由である。

次年度使用額の使用計画

データ解析の委託試験は次年度行う予定である。その他の研究項目は、計画通り遂行できるものと考えられる。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件、 招待講演 3件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Silkrose: A novel acidic polysaccharide from the silkmoth that can stimulate the innate immune response.2016

    • 著者名/発表者名
      Ohta, T., Kusano, K., Ido, A., Miura, C. and Miura, T.
    • 雑誌名

      Carbohydr. Polym.

      巻: 136 ページ: 995-1001

    • DOI

      10.1016/j.carbpol.2015.09.070

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Dietary effects of housefly (Musca domestica) (Diptera: Muscidae) pupae on the growth performance and the resistance against bacterial pathogen in red sea bream (Pagrus major) (Perciformes: Sparidae).2015

    • 著者名/発表者名
      Ido, A., Iwai, T., Ito, K., Ohta, T., Mizushige, T., Kishida, T., Miura, C. and Miura, T.
    • 雑誌名

      Appl. Entomol. Zool.

      巻: 50 (2) ページ: 213-221

    • DOI

      10.1007/s13355-015-0325-z

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ウナギを増やすための生物学2016

    • 著者名/発表者名
      三浦猛
    • 学会等名
      「四万十川流域での産業振興と環境との調和」に関する研修会
    • 発表場所
      四万十市立文化センター(高知県四万十市)
    • 年月日
      2016-02-26
    • 招待講演
  • [学会発表] Approach for Establishment of Sustainable Aquaculture2015

    • 著者名/発表者名
      Miura, Takeshi
    • 学会等名
      International Seminar, Fisheries and Marine Science in Accordance with Sail Tomini and Festival of Boalemo 2015
    • 発表場所
      インドネシア共和国ゴロンタロ市
    • 年月日
      2015-09-08 – 2015-09-10
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 養殖飼料を魚の生理状態から考える2015

    • 著者名/発表者名
      三浦猛
    • 学会等名
      第16回ACNフォーラム-日本の水産増養殖を考える会-
    • 発表場所
      アークホテルロイヤル天神(福岡県福岡市)
    • 年月日
      2015-08-25
    • 招待講演
  • [図書] 「ホルモンから見た生命現象と進化」シリーズ 第4巻 成長・成熟・性決定-継-2016

    • 著者名/発表者名
      三浦 猛,三浦智恵美
    • 総ページ数
      183
    • 出版者
      裳華房

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公開日: 2017-01-06  

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