研究課題
ティラピアを様々な水流の強度で飼育したところ、水流の強度が強いほど成長速度が早いこと、水流に対する反応は雌雄によって異なることが明らかとなった。メダカを用いて、飼料の栄養条件と成熟との関係を観察した。その結果、雌に関しては、一般的な飼料に比較して、低タンパク・高脂質、あるいは高タンパク・低脂質の条件の飼料を給餌したメダカの産卵数が増加する傾向が認められた。給餌コントロールにより、魚類の成熟を制御できるか否かを、養殖ブリを用いて調べた。給餌抑制により成熟を抑制できることは既に明らかになっているので、摂食量の増大が成熟に影響をあたえるか否かを調べた。イカの内臓は、古くより魚類の摂食性を向上させることが知られているが、このイカの内臓の溶解液をブリの飼料に1%添加したところ、消化管でのコレシストキニン遺伝子発現量が上昇するとともに、胃腸管のプロテアーゼ活性が向上し、12.7%摂食量が増加した。実際に1%のイカ内蔵溶解液を添加した飼料を養殖漁場のブリに6ヶ月間給餌したところ、摂食量が増加するとともに、魚体重が有意に増加した。しかしながら、雌雄ともに有意な生殖腺重量の増加は認められなかった。この結果から、給餌制限によって、生殖腺の発達は抑制されるが、過給餌によっては生殖腺の発達は促進しないものと推察された。作製した飼料の魚類に対する生理学的評価のための遺伝子指標を得ることを目的に、エドワジェラ症に感染し衰弱したメダカと健康なメダカから得られたmRNAによりDNAマイクロアレーを行い、メダカの生理状態の違いにより発現が異なる多数の指標となり得る候補遺伝子を得ることができた。
2: おおむね順調に進展している
遺伝子レベルでの解析に若干の遅れを生じたが、本年度の研究により、水流が魚類の成長に直接関係すること、魚類の摂食・成長を促進する機能性原料が明らかになるなど、今後の研究に大きく影響するインパクトの強い成果を得ることができた。
本研究の成果を、実用化を視野に入れた研究に展開させていくために、当初予定していた計画に加え、本年度明らかとなった水流と成長・成熟の関係、および成長促進物質による成長促進と成熟リスクとの関係を分子レベルで解析していく。
DNAマイクロアレーの結果を得るのが当初の予定より遅れ、データ解析の委託が次年度にずれ込んだことが主な理由である。
データ解析の委託試験は次年度行う予定である。その他の研究項目は、計画通り遂行できるものと考えられる。
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