研究課題
基盤研究(B)
魚類には、哺乳類と相同なIFNγに加えて、魚類特有のIFNγrelが存在する。クローンギンブナには2種類のIFNγrel(IFNγrel 1、IFNγrel 2)が存在し、両者は標的細胞内の核内への移行やシグナル伝達に用いるSTATの種類が異なること、いずれも単量体で抗ウイルス活性を示すことを明らかにした。哺乳類のIFNγはSTAT1を介して活性を示しホモ二量体として機能することから、ギンブナの2種類のIFNγrelは、既知のIFNγや他のインターフェロンと異なり、脊椎動物における新規のインターフェロンであると考えられる。poly(I:C)による刺激では、IFNγrel 2はIFNγやIFNγrel 1よりも早期にmRNAの発現量が上昇し、IFNγサブタイプ間においても機能の違いが示唆された。IFNγはCD4やCD8陽性T細胞より分泌されるが、IFNγrel 1およびIFNγrel 2は T細胞以外の細胞より分泌されることが判明した。転写因子のT-betやGATA3あるいはIFNγの発現を指標として、細胞性免疫(Th1細胞)の活性が最も高い時期のCD4陽性細胞を養子免疫移入した個体のみ、細胞内寄生細菌Edwardsiella tardaに対するより高い感染防御能が認められた。このことから、Th1様CD4陽性細胞が細胞障害性T細胞(CTL)と同様にE. tarda感染防御において重要な役割を果たしていることが判明した。組み換えギンブナIFNγ2接種群は対照群に比べ、E. tarda攻撃後の死亡率が有意に低下した。また、IFNγ2接種魚の肝臓において感染初期に貪食細胞が有意に増加し、感染48時間後の肝臓、脾臓、腎臓の臓器内菌数は対照魚に比べ有意に低かった。このことから、IFNγ2投与により感染初期に貪食細胞が誘導され、E. tardaの増殖が抑制されたものと推察された。
1: 当初の計画以上に進展している
ギンブナIL-12の組み換え体については得られたタンパク量が少なかったため、これを用いたTh1応答の誘導については部分的な成果しか得られなかったが、IFNγrelの構造及びシグナル伝達機構の解明、IFNγrelの機能及び産生細胞、細胞内寄生性細菌に対する感染防御における細胞性免疫の役割解明、IFNγを用いた細胞内寄生細菌による疾病の予防法の開発において、当初の計画以上の成果が得られた。
本年度の成果を踏まえ当初の計画通り、IL-12及びIFNγを用いたTh1応答の誘導及びCTLの活性化、IFNγrelの受容体の同定、IFNγの活性化を指標とした免疫増強剤の開発、並びにIFNγアジュバントを用いた有効なワクチンの開発など、基礎的基盤的研究に加え細胞内寄生性細菌やウイルス性疾病に対する予防法の開発について検討する。
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