研究課題
本研究は,消費者個人のフードセキュリティを考える上で重要な肥満と貧困の問題を取り上げ,食料消費行動の視点から行動経済学のフレームワークを用いて分析することを目的とする。1.肥満と食料消費行動の関連については,被験者に各種の条件下での消費行動実験を実施し,被験者の属性,食品への課税,広告,表示,メニューなどが変化することによって,肥満にいたる食料消費行動がどの様な影響を受けるかを明らかする。2.貧困が消費行動に及ぼす影響については,実態調査によって貧困層の食料消費行動の特質を明らかにするとともに,消費行動実験を実施することにより,貧困層を支援する利他的行動(フェアトレード,寄付等)にどのような要因が関わっているかを析出する。28年度は、タイの研究協力者とともにタイ南部の農家を対象に現在この地域の主要な作物であるコーヒー,ゴム,パーム,ドリアンについての選択実験を,労働力制約の有無やコーヒーの樹齢に関する仮想的なシナリオのもとで行い,主体の嗜好の異質性を考慮しうるランダムパラメータロジットモデルによる選択関数の推定を行った。主要な結論としては,危険回避的な主体ほどこれらの商品作物の導入に積極的であること,また近年顕著になってきている労働力の確保の困難さの有無が,収穫期が年に一回しかないコーヒーではその新規更新選択決定に有意な影響を及ぼしていることが明らかになった。それらの結果を学会誌に投稿中である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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農業経済研究
巻: 第88巻第2号 ページ: 184-189