研究課題/領域番号 |
25292139
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
久野 秀二 京都大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10271628)
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研究分担者 |
磯田 宏 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (00193392)
白武 義治 佐賀大学, 農学部, 教授 (10192121)
品川 優 佐賀大学, 経済学部, 准教授 (10363417)
岩佐 和幸 高知大学, 人文社会・教育科学系, 教授 (40314976)
佐野 聖香 東洋大学, 経済学部, 准教授 (40469094)
中西 三紀 高知大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (60553146)
坂下 明彦 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (70170595)
佐藤 宣子 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (80253516)
朴 紅 北海道大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80312396)
池上 甲一 近畿大学, 農学部, 教授 (90176082)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 国際農業開発 / ランドグラブ(大規模農地取得) / アグリビジネス / グローバルガバナンス / 政府開発援助(ODA) / アグリフードレジーム / 国際人権レジーム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、中長期的に世界食料不安の様相が続くと予想される中、世界各地で様々な問題を引き起こしている大規模農地取得(ランドグラブ)を通じた海外農業投資の動向を把握し、わが国の政府開発援助・民間資本による海外農業投資への関与の実態、投資国として国際社会に果たすべき責任を明らかにすることにある。 事業初年度の平成25年度に確立した研究組織と運営体制に基づき、また、同じく平成25年度に開始した「国際的な研究の到達点を包括的にレビューし、関連分野における国内の研究蓄積と接合することで、今後の理論的・実証的研究のための分析枠組みを構築する」作業の到達点、ならびに関連する国・地域で着手した現地予備調査の成果を踏まえて、平成26年度は第一に、引き続き国内外の調査研究動向のレビューと分析枠組みを構築する作業を進めた。第二に、他の予算を一部充当しながら、研究分担者及び連携研究者による現地調査をインドネシア(国有林地におけるランドグラブの実態調査/日本企業による大規模産業造林をめぐる土地紛争の情報収集と次年度フィールド調査の実施準備)、マレーシア(越境農業投資の実態把握のためのパーム油関連業界団体等へのヒアリング調査)、ラオス(多国籍砂糖企業による大規模農業投資と契約農業の影響調査)、モザンビーク(ナカラ回廊とプロサバンナ事業に関連したランドグラブの実態調査)、チリ(政府機関へのヒアリング調査と資料収集)、韓国(韓国農村経済研究院における資料収集)で実施し、情報と資料の収集に努めた。第三に、7月に横浜で開催された国際社会学会の国際会議に研究報告を含めて複数名の研究分担者が参加し、情報収集ならびに国際的な研究ネットワークの構築・拡大に努めた。第四に、これらの成果を研究組織内で共有するとともに、国内研究協力者2名を招聘して情報交換を行うため、2月に全体研究会を開催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は被投資サイドである東南アジア地域(インドネシア、マレーシア、ラオス)とアフリカ地域(モザンビーク)については、現地調査を含め、実態把握のための情報収集と資料収集およびその分析作業が順調に進んでいる。また、中南米地域(チリ)と投資サイドである東アジア地域(韓国、中国)についても資料収集とその分析作業が着手された。 しかしながら、文献調査を踏まえた理論的・実証的研究のための分析枠組みの構築、国際機関・市民社会組織の動向把握、多国籍企業の動向把握、日本政府の政策や日系企業の動向把握などを担当する研究代表者が、家庭の事情に加え、学内の国際連携教育事業(大学の世界展開力強化事業、スーパーグローバル大学創成支援事業)の実施単位責任者として多忙を極めたため、全体研究会の開催や海外研究協力者の招聘に十分に取り組むことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、先行研究のレビューを継続しながら、それをワーキングペーパーないしデータベースのかたちに整理する作業に着手する。 第二に、引き続き関連国・地域(モザンビーク、マダガスカル、ブラジル、マレーシア、インドネシア、中国、韓国)の現地調査を進めながら、その成果をワーキングペーパーないしデータベースのかたちに整理する作業に着手する。 第三に、日本が関与する海外農業投資の実態と政策動向・事業戦略に関する情報収集と関係者・関係機関への国内ヒアリング調査を実施するとともに、投資国責任を問うための法規範的概念の理解と適用可能性を検討する。 第四に、これらの成果を研究組織内で共有し、担当者任せにせずに共同で作業にあたるため全体研究会を2回開催し、国内外関連学会での発表(例えば、6月にタイ・チェンマイで開催されるランドグラブの国際ワークショップ)や国際研究集会の開催(例えば、3月の日本農業経済学会に連動した国際ワークショップ)、成果物の出版(とくに国際的発信を意識)などアウトプットのための準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
意見交換と情報共有を目的とした全体研究会と国際研究集会を予定していたが、担当すべき研究代表者の家庭の事情(配偶者の癌治療)および学内国際連携教育事業(複数の文部科学省プログラム)の業務が重なったため、年2回を予定していた全体研究会は2月一回となり、7月の全体研究会と3月の国内学会にあわせて計画していた研究集会も開催することができなかったことが理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度(平成27年度)の全体研究会を7月と1月に開催する方向ですでに調整を始めている。1月の全体研究会および3月頃に計画中の国際研究集会に国内外研究協力者を複数名招聘し、本研究プロジェクトの成果を研究組織内外で共有するとともに、学術研究上も国際的到達点との差を埋めるため国際的発信に心がける。
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