研究課題/領域番号 |
25292146
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
北辻 政文 宮城大学, 食産業学部, 教授 (30195268)
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研究分担者 |
木村 和彦 宮城大学, 食産業学部, 教授 (10183302)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 再生粗骨材M / プレキャストコンクリート / 放射線 / 鉛ガラス / 銅スラグ / セシウム / 脱着 / 硝酸ナトリウム |
研究実績の概要 |
ア)再生粗骨材Mの製造方法および再生粗骨材Mを用いたコンクリートの製造方法 マルマール(栗田鉄工所製造)の破砕機を用いて、再生骨材Mを作製し、高品質の骨材ができた。また、震災コンクリートがらから製造した再生粗骨材Mの品質は,放射能汚染や津波による塩化物の影響も少なく、良好であった。さらに、それらの再生粗骨材Mを用いたコンクリートおよびPCa製品の強度および耐久性は、普通コンクリートと同等の品質を有することが明らかとなった。 イ)放射能汚染物質保管容器の開発 コンクリートの密度を高めることが放射線の遮蔽率を高めるのに効果的である。これまでに検討したものは、コンクリートに用いる骨材に密度の高い材料として銅スラグ、フェロニッケルスラグ、鉛ガラス等を用いたが、特に銅スラグおよび鉛ガラスは有効であった。さらに汚染物質の適正な運搬・管理のためにトレサビリティーが必要であり、手法として,ICタグを埋め込む方法により検討した。その結果、IT技術の発展により、スマートフォン等によりデータの読み取りが可能で、容易に管理できるようになった。 一方、土壌からのセシウムの脱着を前年度に引き続いて検討を行った。検討内容は、効率的に脱着できる試薬の検討と温度効果の検討である。セシウムの脱着は、土壌にもともと存在するCs133で評価を行った。試薬を検討したところ、硝酸アンモニウムに硝酸ナトリウムを組合せることで、昨年度単独で一番抽出率が高かった硝酸アンモニウムよりも抽出率が上がる場合があることを見いだした。硝酸ナトリウム単独では抽出率は低い場合が多いので、相乗効果があると考えられた。温度効果は、室温60℃、100℃、120℃、一時間の条件で検討したが、温度の上昇により抽出率も上昇した。土壌にもよるが,120℃では室温よりも約20%抽出率が上昇した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ア)再生粗骨材Mの製造方法および再生粗骨材Mを用いたコンクリートの製造方法 再生粗骨材Mを用いたコンクリートおよびPCa製品の強度および耐久性は、普通コンクリートと同等の品質を有することが明らかにできた。現場試験が残っているが順調に進展している。 イ)放射能汚染物質保管容器の開発 コンクリートに用いる骨材に密度の高い材料として銅スラグおよび鉛ガラスが有効であることを明らかにした。またBOXの強度、耐久性およびトレサビリティーについてもコントロール可能である。最後の実証実験として、現場における確認試験が残っているが順調に進展している。 一方、土壌からのセシウムの脱着については、やや遅れており、試験室内の実験にとどまっている。
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今後の研究の推進方策 |
ア)再生粗骨材Mの製造方法および再生粗骨材Mを用いたコンクリートの製造方法 再生粗骨材Mを用いたコンクリートおよびPCa製品の強度および耐久性に関する実験は、福島県の公共工事において実施予定である。その際、再生骨材と銅スラグの組み合わせを計画している。 イ)放射能汚染物質保管容器の開発 最後の実証実験として、現場における確認試験が残っており、福島および宮城県において、汚染物質を直接BOXに保管した場合の作業性、遮蔽性等について確認したい。 一方、土壌からのセシウムの脱着については、フィールドにおいて現象を確認したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
実証試験における現場確認試験が遅れたために未使用額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
コンクリート実験材料の購入および旅費として使用する予定である。
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