昨年度まで基本的な振動特性など諸元に関する調査を行ってきた現地構造物試験地について、電磁波探査、弾性波探査の現地適用を実施するとともに、構物・地盤およびその接合部の強度や透水性に関わる物性値分布との比較検討を行うことにより妥当性の検証を行なった。また研究所内の実験施設において現地での試験を想定して、実験模型を作成するとともに、このような模型に対して実際の現地での電磁波探査、弾性波探査を模擬した実験を実施した。特に地盤、構造物内の間隙構造や水分および強度の変化を高感度、高分解能に検出する技術の開発を目的とした基礎的試験を実施した。 以上の結果を元に現在まで開発を行なってきた技術について、理論的な展開を整理するとともに数値実験を行った後に、実際の野外計測および室内実験における実計測データへの適用を図ることによって実証試験を行なった。 普及可能な技術とするためには、野外でも数点以上の同時多点モニタリングを可能にする技術が必要であり、また耐久性、耐候性に優れるため野外での中長期的な運用も必要である。そこで構造物・基礎の診断に適したシステムの構築のために光センシング技術の適用可能性を検証した。 またアレイ型アンテナを導入した同時多点電磁波計測技術とその解析により、高透水性地盤中に発生する浸透流を定量的かつシームレス(連続的)に評価監視できることを実証した。 以上の結果をもとに、貯水施設および基礎とその接合部に関して、長期供用時や大規模地震後等に想定される変状を高感度で検出する新たな技術の開発を行なった。
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