現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
D-Man/ L-Gal経路の初発酵素PMIはホウレンソウにおいて遺伝子塩基配列が解明されていなかった.しかし,酵素について遺伝子発現解析を行うには,塩基配列の解明は不可欠である.そこで,ホウレンソウにおけるPMI遺伝子塩基配列をモデル植物等のアミノ酸配列をもとに設計したディジェネレートプライマーを利用して増幅させ,DNAシーケンスを用いて解明した. また,低温処理に供したホウレンソウ葉からRNAを抽出し,これをもとに合成したcDNAと前述のディジェネレートプライマーを用い,逆転写PCR (RT-PCR)反応を行った.PCR産物をアガロース電気泳動に供し,プライマーの組み合わせ(F1, R3) (F1, R4) (F4, R4)で目的の大きさのバンドが確認された.その後の実験で(F1, R3)では,アニーリング温度50℃が最適であり,十分な長さのDNA断片が得られたため,これをDNAシーケンスに供し,塩基配列を決定した.DNAシーケンスにより得られた遺伝子塩基配列は,ブドウ (Vitis vinifera, LOC100263511) ,トマト(Solanum lycopersicum, LOC101256451) ,ダイズ(Glycine max, LOC100805195) の既知PMI塩基配列に対しそれぞれ67%の相同性を有した.これは得られた遺伝子塩基配列がホウレンソウPMIの配列と考えるのに十分な値であった. また,他の植物体のPMIに存在するモチーフ配列がシーケンスにより得られた配列中にも存在することからも,シーケンスによって得られた配列がホウレンソウPMIのものと考えて問題はないと考えられる.
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