研究実績の概要 |
2台の育成チャンバーを用い、水耕栽培を行った。養液にはOATハウスA処方1/2倍濃度を使用した。試験区としてR/FR比が15.8である蛍光灯を使用する蛍光灯区と子球肥大期のみR/FR比が1.8である低R/FR比光源(Panasonic, FL40S・FR・P, FL20S・FR・P)を使用する低R/FR比光源区の2試験区を設定した。定植後に全球茎で開花および子球形成が終了後に低R/FR比光源区の光源を蛍光灯から低R/FR比光源に変更し、子球肥大の環境に移行した。子球収穫後、花芽形成処理を経た球茎を育成チャンバーに定植して開花させ、柱頭を収穫、乾燥しクロシン濃度を測定した。両試験区間で子球重量に有意差は検出されなかったが、クロシン濃度は低R/FR比光源区で有意に大きくなった(有意水準1 %)。R/FR比を1.8とする遠赤色光照射は球茎内デンプン濃度を増大させ、その結果柱頭のクロシン濃度が高くなったと考えられる。 光拡散画像計測により球茎内デンプン含量非破壊計測法を開発した。計測システムは光源ユニット(東京インスツルメンツ社, 高輝度波長可変単色スポット照射光源)とCMOSカメラユニットから構成される。照射光は専用分光ユニットにより分光され、サフラン球茎赤道面上に対して特定波長光を照射した。照射波長範囲は600-1000 nm、波長分解能は5 nmである。取得されたサフランの光拡散画像から拡散光輝度減衰曲線を解析し、指数回帰により得られる回帰式の傾きおよび切片のスペクトルデータを算出した。球茎のデンプン濃度測定には、過塩素酸抽出・フェノール硫酸法を用いた。スペクトルとデンプン含量の97データセットをPCR法またはPLS法にて解析を行った。その結果、校正データの決定係数が0.680、評価データの相関係数が0.595となり、本計測法による非破壊計測の可能性が示された。
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