研究課題/領域番号 |
25292154
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
細井 文樹 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (80526468)
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研究分担者 |
清水 庸 東京大学, 農学生命科学研究科, 助教 (00323486)
大政 謙次 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (70109908)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 可搬型ライダー / 多偏波SAR / 群落構造パラメータ / プラットフォーム / Unmanned Aerial Vehicle / リモートセンシング |
研究実績の概要 |
ライダーデータから得る植物構造データの精度向上の方法を昨年は検討したが、これに加えて本年はライダーデータから今までにない植物構造に関する情報を引き出す方法についても検討した。具体的には葉面積密度や葉傾斜角の空間分布の情報を引き出す方法や、葉傾斜角分布と周辺の光環境との関係を導く方法である。こうした方法にSARの広域空間情報と合わせることで、より広範囲の植物群落機能を知ることが可能となるため、学術上極めて意義深いものと考えられる。SARデータについては、昨年までに多偏波データを使うことで、対象の構造情報をもとに対象の各々を構造毎に分離する方法を検討していた。これは対象の構造によって、各偏波の散乱過程が異なるという特徴を利用したものであった。本年はどのような対象の構造がどのような散乱過程となるのかという視点に基づき、散乱強度を対象構造毎に分離した。このような分離を行うことで、対象にどのような構造のものがどの程度の割合で含まれているのかが明確となり、植物群落の特徴的な構造情報が抽出可能となる。この方法を応用し、森林群落の樹種分類を可能とする方法を見出した。 データ測定効率向上のためのUAV(Unmanned Aerial Vehicle)搭載ライダーの開発については、昨年のテストフライトをもとに、より適切な機器の選定を行った。実際には使用するセンサーの精度や測距距離に関してなかなか要求水準を満たすものがなく、26年度の後期にようやく満足のいくスペックのものが発売されるに至った。機器の選定まで済んだため、具体的な実装に入るめどがたった。昨年検討した小回りのきく小型可搬型スキャニングライダーの開発に関しても、装置検討を進めている最中により高性能な装置が開発、販売されたため、仕様と設計変更を繰り返し行い、ライダーの実装のめどがたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
UAVライダーと小型可搬型スキャニングライダーの機器選定について、スペックを満足するものが発売されるまでに時間を要したため。
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今後の研究の推進方策 |
SARデータの解析については、対象の構造要素を分離する手法をさらに検討し、ライダーの構造データと関係づけられるよう研究を進めていく。SARデータとライダーデータそれぞれから得られた情報を関係づける際に、両者の分解能や計測可能エリアが異なっている点が技術的ハードルを上げる一つの要因となっている。特にLバンドデータでは今まで数10mの分解能(ALOS PALSARの場合)といったものが代表的であったため、こうした問題が生じた。本年は近年運用が開始されたALOS2 PALSAR2 から得られる数m分解能のデータを利用するなどし、ライダーから得られる情報との関係について検討していく。 UAV搭載型ライダーについては、3Dスキャナーと慣性計測装置、及びデータロガーの実装を進めていく。実装をしながら実際の圃場や森林にて多地点、多時期計測を行い、測定データの検証とその結果をもとにした装置の改良を急ピッチで進め、圃場と森林の多時期・多地点データを研究期間内にできるだけ多く取得できるように進めていく。昨年検討した小回りのきく小型可搬型スキャニングライダーの開発に関しても、装置の実装を進め、検証とデータ取得を併せて行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
最適な機器の選定及び入手に時間がかかったため、昨年度の段階でそれら装置を実装する部分までまだ進んでおらず、実装に使用する部分の費用を使用しなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
機器の選定が済んでいるため、本年度に急ピッチで装置の実装と評価を進め、予算を使用していく予定である。
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