研究課題/領域番号 |
25292158
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
盧 尚建 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90322130)
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研究分担者 |
鈴木 啓一 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10344706)
中島 恵一 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター酪農研究領域, 主任研究員 (70362150)
芳賀 聡 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 畜産草地研究所 草地管理研究領域, 研究員 (90442748)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウシ / ケメリン / 脂質代謝 / 脂肪蓄積 |
研究概要 |
本研究は、ウシ体脂肪蓄積におけるケメリンの生理学的な役割を解明するために、1)アディポカインによるウシ脂肪細胞のケメリン発現量への影響と、2)黒毛和種牛のケメリンのコード領域内のSNPsを同定し、枝肉形質および筋肉内脂肪酸組成に与える影響、3)黒毛和種牛の20日齢および80日齢時に肝臓バイオプシーを行い、得られた肝臓組織からケメリンの遺伝子発現量を調査した。 1)TNF-α 、アディポネクチン、レプチンおよびケメリン (アナログペプチド)で黒毛和種牛の培養脂肪細胞を24時間刺激したところ、TNF-α、アディポネクチンとケメリン刺激によりケメリンのmRNA発現上昇が確認された。しかし、レプチン刺激によるケメリンmRNA発現への影響は確認されなかった。 2)黒毛和種牛(n=234;去勢牛162頭、雌牛72頭)の筋肉組織と第6~7胸椎間の切断面の胸最長筋から筋肉内脂肪組織をサンプリングし、SNP(一塩基多型)と脂肪酸組成分析および産肉成績への影響を解析した。ケメリン遺伝子のコード領域内において計5箇所のSNPが発見され、統計解析が可能であった3箇所のSNP(c.12A>G (4aa), c.276C>T (92aa), c.321A>G (107aa))と枝肉形質および筋肉内脂肪組織中の脂肪酸組成との関連性を調べた。また、この3つのSNPは全てアミノ酸配列の変化を伴わない同義置換であった。統計解析を行った結果、c.276C>T (92aa)のSNPとBMS(牛脂肪交雑基準) や肉の色沢、肉のきめなどの枝肉形質との間に相関関係が見られた。さらに、c.276C>T (92aa)のSNPと相関関係のあった全ての形質が、CCの個体においてCTの個体よりも優れていた。 3)ウシの肝臓組織において20日齢から80日齢にかけてケメリンの遺伝子発現に上昇傾向が見られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウシのケメリン分泌機構と生理的な機能を明らかにするために、平成25年度に計画した実験行った。ウシ培養脂肪細胞においてケメリンの発現量を調節するアディポカインの因子を特定した。ケメリン遺伝子に存在する一塩基多型(c.12A>G (4aa), c.276C>T (92aa), c.321A>G (107aa))が、枝肉形質および筋肉内脂肪組織中の脂肪酸組成と関係があることを明らかにした。黒和種牛の離乳前後においてケメリン遺伝子発現量が増加することが判明された。このように多くの知見を得ることが出来たため、当初の計画とおり進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度の結果を踏まえ、平成26年度にはウシ培養肝細胞と乳腺上皮細胞においてケメリンの発現量と分泌に関わる遺伝子を詳細に解析する。また、タンパク質の発現量と分泌を調べるために、作成済みのウシケメリン抗体を検証する予定である。
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