研究実績の概要 |
本研究は,平成26年度までに計画の大半を完了し,研究代表者の定年に加え研究協力者の課程修了により研究組織が縮小したことから,27年度は,これまでの結果を補足するため,胚盤胞以前のmRNA発現と,タンパク質を発現しているCLDN 6, 7, 8, 9, 12, 14をターゲットとしたRT-PCR増幅産物のDNA配列を確認した。また,後期4細胞以後の着床前胚におけるclaudinsの局在性を,間接免疫蛍光抗体法(IIF)で明らかにした。 mRNAの発現性については,CLDN6, 7, 9, 12ならびにCLDN14はCLDN1, 4(25年度実施)と同様に,解析した桑実胚から拡張胚盤胞までのすべての発生段階で発現していたが,桑実胚ではCLDN8の発現は見られず,早期胚盤胞になって発現した。また,これらの増幅産物のDNA配列を分析した結果,いずれも目的のDNAが合成されていることを確認した。 ブタ胚盤胞におけるこれらのclaudinsの発現は,claudin 6, 7はタイトジャンクション(TJ)を反映する細胞間領域に分布し,claudin 8, 9, 12, 14はclaudin1と同様にTJ異所性の分布を示すことを26年度に明らかにしたが,より早い後期4細胞からのclaudinsの発現性を分析し,claudin8を除いていずれも後期4細胞から細胞質性の発現を確認し,発生とともにclaudin 4は主にTJに局在し,6, 7 は主に細胞質性とTJ局在性の分布を示した。しかし,claudin6のTJへの局在性は4, 7に比べて低く,TJ領域への局在は,claudin7, 4, 6の順に起こった。異所性分布を示すclaudinsはいずれも4細胞から細胞質に分布し,桑実胚から胚盤胞にかけて細胞質と核・核周辺の分布を示し,発生とともに発現が弱くなること明らかにした。
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