本研究は,卵管の自然免疫機能の解明を目的とした。卵管には多様な細菌とウイルスの分子がパターン受容体に認識されて自然免疫応答が起動するものと考えられた。RNAウイルスである伝染性気管支炎ウイルス(IBV;弱毒化ワクチン使用)は、抗菌ペプチド、サイトカイン、インターフェロン(IFN)の発現を誘導した。また、微生物パターン認識後の転写因子にはNFκBが関わることも明らかになった。感染部位の炎症時に増加するプロスタグランディン(PG)も抗菌ペプチド発現を増加させた。これらの結果から、卵管の感染部位では、パターン受容体の刺激やPGの作用で抗菌ペプチドやIFNが産生されて微生物が排除されると考えられた。
|