研究課題/領域番号 |
25292163
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 和雄 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (60091831)
|
研究分担者 |
平山 琢二 琉球大学, 農学部, 助教 (00274887)
盧 尚建 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (90322130)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 黒毛和種牛 / 脂肪蓄積 / 成長ホルモン / 遺伝子多型 |
研究実績の概要 |
ウシ成長ホルモン(bGH)には2か所の一塩基多型(SNP)があり、それによりアリルA、B、Cが存在する。しかし、C型GH遺伝子多型の特徴は、生体レベルでは報告がなされているものの、細胞レベルでは未だ明らかにされてないことが多い。本年度は黒毛和種牛のAA型とCC型の脂肪細胞を用いて両細胞の特徴を調査した。 【方法】AA型およびCC型黒毛和種牛の皮下脂肪組織から定法に従いSV細胞を単離した後、コンフルエントになるまで培養し、分化培地で12日間分化誘導を行った。Q-RT-PCR法により脂質代謝関連酵素の遺伝子発現量を測定した。さらに、分化脂肪細胞においてGHとβアドレナリン作動薬による脂質分解と合成効果について調査した。 【結果】黒毛和種牛の皮下脂肪組織から単離したSV細胞の、脂肪細胞への分化誘導の確認は、Oil Red - O染色法とPPARγの遺伝子発現量の測定により行った。AA型およびCC型のどちらのSV細胞においても、分化10日目で赤く染色された脂質を確認できた。また、どちらのSV細胞においてもPPARγ mRNA発現量が分化0日目に比べて10日目に有意に増加した。βアドレナリン作動薬であり脂質分解作用が知られているイソプロテレノールを添加した培地で培養したところ、AA型細胞ではPPARγ、FASNとSCDの発現量が減少した。一方で、CC型細胞ではFASN発現量は減少したが、PPARγやSCD発現量は変化しなかった。故に、CC型細胞はAA型細胞よりβアドレナリン作動薬に対する反応性が低い可能性が示唆された。以上より、AA型細胞に比べてCC型細胞では、GHやβアドレナリン作動薬の脂質合成抑制効果が低いことが示唆された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度はAA型とCC型の培養脂肪細胞を用いて脂質合成と分解に関する新たな特徴を明らかにした。このような知見を得ることが出来たため、当初の計画通り進展していると判断した。
|
今後の研究の推進方策 |
平成27年度はA型とC型の組み換え成長ホルモンを作製し、AA型とCC型の培養脂肪細胞における作用メカニズムを明らかにする予定である。
|