研究課題
基盤研究(B)
平成25年度は、ウシ小型ピロプラズマの増殖メカニズムの解明に向けて以下の研究項目を実施し、成果を得た。1)実験感染ウシの各種臓器から小型ピロプラズマ(Theileria orientalis)のシゾントの観察を試みたが、検出できなかった。2)小型ピロプラズマを感染させたSCIDマウスにフタトゲチマダニを吸血させ、唾液腺から原虫抗原のMPSPを発現するスポロゾイトの検出に成功した。3)小型ピロプラズマの全ゲノムの解読に成功した。4)スリランカ及びベトナムに分布する小型ピロプラズマのMPSP遺伝子多型を明らかにした。5)フィリピンから小型ピロプラズマは検出されなかった。6)小型ピロプラズマの感染と発病は、マイコプラズマが共感染すると抑えられることが判明した。これらはウシ小型ピロプラズマの増殖メカニズムの解明に向けて有益な成果となった。
2: おおむね順調に進展している
小型ピロプラズマのシゾントの検出には至らなかったが、SCIDマウスの実験感染系の確立に成功し、その系を用いることでMPSPを発現するスポロゾイトの検出に成功した。さらに、小型ピロプラズマの全ゲノムの解読にも成功している。また、世界に分布する小型ピロプラズマのMPSP遺伝子多型の詳細を明らかにし、さらには小型ピロプラズマの感染と発病はマイコプラズマが共感染すると抑えられることも明らかとなった。以上の成果より、極めて順調に進展していると判断する。
次年度では、1)MPSP抗体を用いた小型ピロプラズマのシゾントの検出、2)SCIDマウスの実験感染系を用いたスポロゾイトの形態学的解析と遺伝子発現解析、3)SCIDマウスを用いたシゾントの再現と解析を行う。
原虫の遺伝子解析が先行したため、抗体の作製と免疫学的解析が次年度に移行し、その結果として次年度使用が生じた。平成26年度の次年度使用分経費として、物品費:2,000,000円、旅費:800,000円、人件費・謝金:500,000円、及びその他:500,000円(計:3,800,000円)を予定している。
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