研究課題/領域番号 |
25292171
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
石黒 直隆 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (00109521)
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研究分担者 |
猪島 康雄 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20355184)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | アミロイド / 伝播 / マウス / ウシ / ニワトリ / 免疫組織化学検査 |
研究実績の概要 |
蛋白質のミスフォールデングに起因するAAアミロイド症は鳥類やウシに発症し、臓器にAAアミロイドが蓄積して発症する致死性疾患である。AAアミロイドの前駆体は、血清アミロイドA蛋白質(SAA)であり、SAA濃度が高い動物にAAアミロイドを投与すると容易にアミロイド症を発症・伝達することができる。本研究はAAアミロイド症の発症機序と起病性を明らかにするものであり、平成27年度は以下の項目を解析し結果を得た。 課題1.ニワトリSAAに対するモノクローナル抗体の作製:昨年度につづき、ニワトリSAAのアミノ酸を合成し、マウスに免疫してモノクローナル抗体の作製を試みた。結果的には、免疫組織化学検査に使用できる抗体は作製できなかった。しかし、免疫組織化学検査には、マウスの血清を用いて検査した。 課題2.異種動物へのAAアミロイドの伝播性と免疫組織化学解析:自己免疫疾患マウスBL57 lpr/lrpと2型糖尿病疾患マウスBL57 Ham ob/ob にマウス、ウシ、ニワトリ由来のAAアミロイドを投与し、アミロイド症の伝播について解析した。その結果、自己免疫疾患モデルマウスおよび2型糖尿病疾患モデルマウスともコントロールのマウスに比べて、AAアミロイド症の伝播性は低かった。 課題3.キメラSAA分子の発現と培養細胞を用いたアミロイド形成能の解析:SAA1とSAA3とのキメラを作製してキメラSAA1/3とキメラ3/1を作製した。アミロイド形成能の解析については、平成28年度の課題とした。 課題4.動物由来AAアミロイドの熱抵抗性試験:マウスとウシ由来のアミロイドの熱抵抗性について解析した。その結果、アミロイドは、熱に極めて抵抗性であり、100度の過熱でもマウスへの伝播性を有していた。マウスへの伝播性を完全に消失させるには、135度30分の加熱が必要であることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題1.ニワトリSAAに対するモノクローナル抗体の作製:ウシに対するモノクローナル抗体の作製は成功したが、ニワトリに関しては苦戦している。 課題2.異種動物へのAAアミロイドの伝播性と免疫組織化学解析:平成27年度は、自己免疫疾患マウスと2型糖尿病疾患モデルマウスを用いてAAアミロイドの伝播性を解析した。両疾患モデルマウスにおいては、概ね、実験は順調に進み、結果を得ることができた。 課題3.キメラSAA分子の発現と培養細胞を用いたアミロイド形成能の解析:キメラ作製まで進行している。培養細胞を用いたアミロイド形成については、平成28年度に実施する予定である。 課題4.動物由来AAアミロイドの熱抵抗性試験:マウスおよびウシ由来のAAアミロイドの熱抵抗性について解析した。その結果、プリオン同様に、熱に抵抗性であることが明らかとなった。実験を平成27年度に終了し、学術論文として公表した。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度の成果を基に平成28年度に関しても4項目について研究を推進する予定である。本研究は、同種および異種動物へのAAアミロイドの伝達機構の解析が大きな目標であることから、動物へのAAアミロイドの伝播機構を詳細に解析する。特に、疾患モデル動物について、他のモデル動物についても検討する。また、キメラマウスについては、培養細胞を用いて、アミロイド形成を確認する。さらに、培養細胞を用いたアミロイド形成と消失におけるマクロファージの関与についても詳しく解析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子疾患マウスを購入する予定であったが、生産側が間に合わず、平成28年の4月以降に持ち越すこととなった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年4月以降にマウスを購入する予定であり、平成28年度に繰り越した経費の使用については、メドがたっている。
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