研究課題/領域番号 |
25292174
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
東 泰孝 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (50298816)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IL-19 / T細胞 / サイトカイン / DTH |
研究概要 |
平成25年度は、遅延型過敏症モデルを用いて解析を行い、野生型マウス(WT)とIL-19遺伝子欠損マウス(KO)の間で、組織炎症の程度に相違があるかどうかを比較検討した。遅延型過敏症モデルは、メチル化BSA(mBSA)を2回免疫することでアレルギー炎症を惹起させた。具体的には、WTとKOに、タンパク質抗原であるmBSAをCFAアジュバントとともに腹部皮下投与した(感作)。感作7日後、mBSAを後肢足底の皮下に投与し(再感作)、1日後および2日後の腫脹を経時的に測定した。その結果、1日後および2日後のいずれの時点においても、KOの腫脹はWTより有意に大きくなることが明らかとなった。続いて、感作7日後にリンパ節ならびに脾臓を摘出後、リンパ節細胞および脾細胞を調製し、mBSAによる再刺激を行った。その結果、mBSA再刺激に応答したリンパ節細胞および脾細胞の増殖能はKOの方がWTよりも有意に高かった。さらに、mBSA再刺激に応答したリンパ節細胞および脾細胞のIFNgamma産生能も、KOの方がWTよりも有意に高かった。一方、mBSA再刺激に応答したリンパ節細胞および脾細胞のIL-4産生能は、KOとWTは同程度であった。以上の結果より、IL-19は遅延型過敏症モデルにおける活性化T細胞の機能において重要な役割を演じる可能性が示唆される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の当初計画では、接触型過敏性モデルおよび遅延型過敏症モデルを用いて解析を行い、これらを並行して同時進行する予定であった。実際には、まず初めに遅延型過敏症モデルについて、WT4例とKO6例を用いた1回目の実験を行ったところ、KOの方が腫脹が大きくなるとの結果を得た。ここで、接触型過敏性モデルも並行して進めるとの選択肢もあったが、やはり1回目から有望な実験が得られたことから、遅延型過敏症モデルに注力することとし、腫脹実験の再現性ならびに経時変化の実験を行い、KOの方が腫脹が酷い、との結論を得た。その後も、遅延型過敏症モデルにおけるメカニズム解明へと研究を進展させ、リンパ節あるいは脾臓のT細胞を用いて、IFNgamma産生能およびIL-4産生能の解析を行った。これらサイトカイン産生能の実験においても、KOはWTに比べて明確なIFNgamma産生能の増大を示した。以上のことより、IL-19を欠損することで、遅延型過敏症が酷くなる、との表現型の変化を捉えられたことから、IL-19は遅延型過敏症に密接に関与する可能性が示唆され、本研究課題の進展に向けて、順調かつ重要な知見であった。
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今後の研究の推進方策 |
遅延型過敏症モデルでは、KOはWTより酷くなる、との結果を得られたことから、今後は、まず別のモデルである接触型過敏性モデルについての解析を第一に実施する。さらに、遅延型過敏症モデルにおいても、申請した当初の研究計画に従い、より詳細なメカニズム解明へと着手する。
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次年度の研究費の使用計画 |
支出費目の内、最大の消耗品費であったマイクロアレイまで今年度は実施したかったため、1,285,953円を未使用額として次年度へ繰り込すこととした。 次年度は、KOとWTの比較をマイクロアレイ解析を実施することでより詳細に行う。
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