研究課題
平成27年度は、前年度の得られた成果についてさらに解析を進めた。すなわち、オキサゾロン誘発性接触型過敏症モデルをIL-19遺伝子欠損マウスを用いて各種検討した。前年度、皮膚炎に伴う耳介の腫脹が野生型に比べてIL-19遺伝子欠損マウスの方が悪化することを見出したが、そのメカニズムの一つとしてリンパ節におけるIFN-gamma産生量の増加ならびに耳介におけるIFN-gamma発現量の増加が関与することを明らかにした。一方、IL-4の産生量ならびに発現量には明確な変動は認められなかった。したがって、IL-19遺伝子が欠損することにより、Th1応答が増加することで皮膚炎腫脹が悪化したと考えられる。
2: おおむね順調に進展している
前年度までの成果により、IL-19遺伝子欠損マウスを用いて、接触型過敏症モデルにおける相違を発見することができた。さらに、今年度は、この相違、すなわち接触型過敏症の悪化に至るメカニズムの一端を明らかにすることができたことは大きな成果である。
今後は、オキサゾロンがTh1応答を介して皮膚炎を発症する機構を有していることから、皮膚炎発症時におけるIL-19のTh1/Th2応答における役割解明を志向し、FITCというTh2応答を介して皮膚炎を発症するモデルを用いて解析を進める予定である。これらを明らかにできれば、IL-19が皮膚炎発症そのものの基盤に関与するのか、もしくは、Th1あるいはTh2のどちらかだけの応答に関与するのかを明らかにできることから、皮膚炎におけるIL-19の役割を広く解明することに繋がることが期待される。
今年度の助成総額4,025,731円に対し実支出額は3,156,025円であった。次年度使用額が869,706円生じた理由としては、次年度は今年度と比べて1,400,000円の減額が予め手わかっていることから、869,706円繰り越すことで次年度も3,169,706円確保することができ、今年度と同様の研究計画を進行するためである。
今年度生じた869,706円は次年度に有効活用し研究推進に役立てたい。
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