研究課題/領域番号 |
25292179
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
西藤 公司 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (20365422)
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研究分担者 |
菅井 基行 広島大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (10201568)
水谷 哲也 東京農工大学, 農学部, 教授 (70281681)
井手 香織 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (40550281)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 獣医学 / 皮膚科学 / ブドウ球菌 / 感染症 |
研究概要 |
本年度は次世代シーケンサーを用いて、Staphylococcus schleiferiの新規表皮剥脱毒素をコードする遺伝子領域の部分塩基配列解析を行ったと共に、菌の培養上清から毒素活性を持つ蛋白のフラクションをカラムクロマトグラフィーにより精製して部分アミノ酸配列解析を行った。その結果、他のブドウ球菌属の表皮剥脱毒素遺伝子の上流配列と極めて相同性の高い塩基配列が、S. schleiferiのゲノム上にも存在することを確認した。一方で部分アミノ酸配列解析の結果ではS. haemolyticusが保有するendopeptidase Clp ATP-binding subunit Cに相同性の高い配列が同定された。今後は同株のゲノム全塩基配列解析により、新規表皮剥脱毒素遺伝子ならびに他の病原遺伝子の検索を試みる予定である。 また本年度は、Staphylococcus pseudintermediusをBalb/cマウスおよびHR-1ヌードマウスの皮膚に塗布して、イヌ表在性膿皮症の病理組織学的変化を再現した膿皮症モデル皮膚を作成することにした。マウスの皮膚に有機溶媒を塗布して角層間脂質を除去し、乾燥後に同部位に濃縮したブドウ球菌液を塗布したところ、角層下におけるブドウ球菌の増殖ならびに好中球の浸潤が認められた。一方で有機溶媒を塗布していない皮膚では、上述の組織学的変化は認められなかった。今後はこの膿皮症モデル皮膚を用いて、ブドウ球菌の角層通過に関与する菌側の病原因子および宿主側の皮膚バリア機能障害の分子メカニズムについて、解析を進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度は大学院生の入学辞退および入試不合格により研究補助者が不足したため、予定通りには研究が進まなかった。しかしながら昨年度末より実験助手を1名雇用したため、研究遂行の遅れを少しは挽回することが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
上述の実験助手が今年度から代表者の所属する研究室に常勤研究員として雇用されることとなったため、必要な研究補助者の人数は概ね確保されたものと考えている。研究内容については当初の実施計画に沿って進める予定であるが、本症に関与する宿主側の要因として角層細胞間脂質、特にセラミドの発現異常やタイトジャンクションに発現する蛋白の動態についても解析をさらに発展させていきたいと考えている。
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次年度の研究費の使用計画 |
補助金分は全額使用したものの、基金分を今年度に全額使用せず、次年度以降に必要となる物品の購入費用として繰り越したため。 次年度以降は膿皮症モデル皮膚における皮膚バリア関連蛋白の分子学的挙動について解析するため、マウスや各種抗体、酵素などの購入費、ならびに塩基配列解析受託費などに使用する予定である。また研究を補助するための研究員雇用費、ならびに研究成果を公開するための学術大会参加費や論文校正費にも使用する予定である。
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