研究課題/領域番号 |
25292180
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
三浦 直樹 鹿児島大学, 獣医学部, 准教授 (80508036)
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研究分担者 |
後藤 章暢 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70283885)
丸山 征郎 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (20082282)
川原 幸一 大阪工業大学, 工学部, 教授 (10381170)
川口 博明 鹿児島大学, 獣医学部, 准教授 (60325777)
木之下 明日香 (瀬戸口 明日香) 鹿児島大学, 獣医学部, 准教授 (00396813)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イヌ / 腫瘍 / microRNA / p53遺伝子 / 乳腺腫瘍 / メラノーマ / 肝細胞癌 / 遺伝子導入 |
研究概要 |
イヌの腫瘍におけるmicroRNAの解析は数報しか報告されておらず、多検体で網羅的解析は行なわれていない。本年度はアレイ解析で、乳腺腫瘍、末梢神経鞘腫、血管肉腫、扁平上皮癌、メラノーマ、肝細胞癌で特異的に変動する可能性のあるmicroRNAの選出を行なった。現在、それらについて個々に観察が進行中である。 乳腺腫瘍に関しては腫瘍組織で特異的に発現するmicroRNAをアレイで同定し、確認が可能であった。さらに、血清中で変動するmicroRNAの変化も観察した(第156回日本獣医学会口頭発表、論文作成中)。メラノーマに関しても腫瘍組織と正常口腔組織で発現差を観察して腫瘍特異的に発現変化するmicroRNAを同定した(論文投稿中)、一方で腫瘍細胞株での発現も観察している。肝細胞癌でも腫瘍組織と正常肝臓組織で発現差のあるmicroRNAの確認が行なえている(論文作成中)。他の腫瘍に関しても臨床サンプルの蓄積を行なっており現在、各腫瘍に特異的な発現変動を示すmicroRNAの発現変化も観察している。 一方で脳腫瘍を含む脳脊髄神経疾患のイヌの脳脊髄液を採取しmicroRNAの解析を行なったが、現在までに疾患に依存して変化するmicroRNAの確認には至っていない。 本年度は遺伝子治療に使用するp53遺伝子導入ウイルスベクターの作製に成功している。現在までにヒトのp53遺伝子の導入は可能となっており、現在、イヌのp53遺伝子の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の結果からすでに複数のイヌの腫瘍で特異的に発現変動する可能性のあるmicroRNAのリアルタイムによる解析は行なえており論文の投稿中(1報)と論文作成中(2報)である。一方で、本研究ではイヌのmicroRNAを次世代シーケンスで網羅的に解析することを当初の最大の目的としているが、本年度はサンプルの準備が整わずに次世代シーケンス解析ができなった、遺伝子導入のベクターは作製できているが実際の導入はできていないことか、現在までの達成度の区分は(3)であると自己評価した。これらはサンプルと細胞株(既に準備済み)が整えば実施可能であり、次年度(H26年度)の早期に実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
各腫瘍のmicroRNAの解析はサンプル数の増加と治療や予後などステージに依存した変化の確認を行なう。サンプルの準備ができている複数の腫瘍組織のRNA混和と正常組織混和による次世代シーケンス解析と肝細胞癌と正常肝臓細胞による次世代シーケンス解析を行なう。既に作製している遺伝子導入のベクターを用いた遺伝子導入とそれによるmicroRNA発現変化を腫瘍細胞株で行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度はサンプルの準備状況が十分でなかったので次世代シーケンスによる網羅的解析が行なえなかった。網羅的解析は高額であるので十分に結果の期待できるサンプルを選別する必要がありより慎重にサンプルの決定を行なっている。 本年度は網羅的解析を行なうので、昨年度の繰越金はそれに使用する。さらに、新規のターゲットのmicroRNAが同定され、その確認の実験に残りの費用を使用する。既に論文投稿準備が3報あり、さらに網羅的解析の発表と投稿に研究費を使用する計画である。
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